1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09670448
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Research Institution | Wakayama Medical College |
Principal Investigator |
辻 力 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (50073680)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 章彦 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (60136611)
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Keywords | 創傷治癒 / 脳胎児型ミオシン / 細胞増殖 / 細胞分化 / 実験肝炎 |
Research Abstract |
前年度は四塩化炭素によるラット実験肝炎の治癒過程を組織化学的および生化学的に検討し、障害肝組織における脳胎児型ミオシン重鎖の発現は、肝組織の再生(増殖)が終了し成熟(分化あるいは組織再構築)を開始する時期(4日目)をピークとして一過性に認められ、細胞の分化過程あるいは組織再構築の過程において機能する可能性を強く示唆することを明らかにした。したがって、炎症など組織障害の治癒過程において脳胎児型ミオシン重鎖の発現は再生(増殖)の終了を示す指標となりうるものと考えられた。 以上の研究結果に基づき、今年度は、皮膚および筋組織の外傷をラットに作成し、それら損傷の治癒過程での脳胎児型ミオシン重鎖の発現を検討し一般化を試みた。痲酔下ラットの後足に18Gの注射針を刺入し皮膚およびヒラメ筋に障害を与えた。経時的に障害組織を採取し組織化学的および生化学的に検討を行った。炎症過程に引き続く筋細胞の再生過程を観察し、肝炎組織と同様に再生過程での脳胎児型ミオシン重鎖の発現を検討したが、生化学的にも免疫組織学的にも脳胎児型ミオシン重鎖の明確な発現の増加は確認できなっかた。筋組織と肝組織では再生過程における脳胎児型ミオシン重鎖の発現様式が質的に異なるのか、あるいは単に発現量に関係した量的な相違であるのかは現在のところ不明と言わざるを得ない。今後さらに、脳胎児型ミオシン重鎮検出法に改良を加え創傷治癒過程における脳胎児型ミオシン重鎖発現の組織特異性の有無について明らかにするとともに法医実務における損傷の診断(受傷後の経過時間の推定等)への脳胎児型ミオシン重鎮の発現の応用の可能性検討する予定である。
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