1999 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子解析に有効なホルマリン固定・パラフィン包埋標本の作製法の開発
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09670451
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Research Institution | DOKKYO UNIVERSITY SCHOOL OF MEDICINE |
Principal Investigator |
高橋 雅典 獨協医科大学, 医学部, 助教授 (70103356)
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Keywords | ホルマリン固定 / パラフィン包埋 / DNA / PCR / 遺伝子解析 / EDTA / VNTR / STR |
Research Abstract |
10年度までの検討結果より、DNA保存効果の良好なEDTAおよびNaCl添加の2種類に限定し、剖検体を想定して、ややDNA分解の進行した臓器についてもDNA保存効果、さらにD1S80およびSTRのallele増幅を行った。また、長期固定中の臓器(最長2年)についても同様に検討した。使用したホルマリン固定液(濃度10%v/v)は、(1)無添加ホルマリン、(2)中性ホルマリン、(3)1mM EDTA加中性ホルマリン、(4)5mM EDTA加中性ホルマリン、(5)50mM EDTA加中性ホルマリン、(6)150mM Nacl加中性ホルマリンである。その結果、10日間以内の固定組織中DNAの保存性は、死後24時間以内の臓器はもとより、ややDNAの分解が進んだ組織についても、固定液(3)、(4)、(5)および(6)では、いずれもDNAの分解の抑制が認められた。DNA収量は、肝、腎、肺の順で多かった。抽出されたDNAサイズは、多くの場合、肺、腎、肝の順で大きく固定時点でのDNA分解度に臓器別の差があるのが原因と思われた。また、ホルマリン中のDnase活性は、2週間程度で失活するらしく、固定液(1)では、この間にDNAはほとんど消失するが、(3)、(4)、(5)および(6)では抑制された。 D1S80型、STR型検出:1.2kbp以上のDNAが分画・回収された場合ではD1S80型の判定が、500bp以上のDNAを分画できた場合には、TPOX、vWA、TH01型いずれのalleleも増幅できた。 長期間固定では、3ヶ月以上の固定でDNAの分解がほぼ停止し、(3)〜(6)すべての固定液で大きな差は認められないが、1年後では(6)がやや劣る傾向を示した。 以上、EDTAを添加した中性ホルマリンにはDNAの著しい分解抑制効果が認められた。添加濃度は、2年間固定の結果、5mMで十分効果があると思われた。
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Research Products
(1 results)