Research Abstract |
Lewis式血液型を構成するLewis^2およびLewis^bの抗原の出現時期や,その変化の過程を正確に知るために,臍帯血,新生児血,乳幼児血,成人血(血痕および血漿)の抗原量を,新規ユウロピウム蛍光ラベル剤, (BHHCT)-Eu^<3+>を用いた時間分解蛍光イムノアッセイで測定した.すなわち,血痕解離試験で解離したマウス由来抗Lewis抗体の量をビオチン化抗マウスIgMとストレプトアビジン-BSA-BHHCT-Eu^<3+>を用いた時間分解蛍光イムノアッセイによって測定し,元の血痕中のLewis式血液型抗原量を求めた.また,標準Lewis物質を(BHHCT)-Eu^<3+>で標識し,抗Lewis抗体に対する競合試験によって血漿中のLewis抗原量を求めた.さらに検体のDNAからLegenotype,Secretor genotypeを決定し,Lewis式血液型の表現型の変化を検討した.この結果,臍帯血中にLe(a+b-)の成人とほぼ等しいLewis^2抗原と,少量のLewis^b抗原がすでに存在するのを検出し,これは血漿中に存在すると考えられた.また,Le(a-b+)においては,生後5日から血漿中のLewis^b抗原量が上昇し始め,生後日数を経るほどその抗原量が増え,血球に吸着していくと推測された.本法によるLewis^2抗原の検出感度は1ng/ml,抗Lewis抗体の検出感度は1:2×10^<-6>であり,従来のELISAより2桁以上高感度であった.これまでは乳児期に血漿中に抗原が出現してからLewis式血液型抗原が変化するとされていたが,本研究の結果からより早い時期に抗原が出現していることが示唆された.次に,除草剤ベンスルフロンメチル(BSM)を測定し,農薬分析への実用性を確認した.BHHCT-Eu^<3+>標識BSM-BSAとBSMの競合法を用い,24pg/ml(0.6pg/assay)まで検出できた.HPLCなどの方法より2桁以上高感度であり,簡便であるため,環境試料中の様々な微量成分の測定への応用が期待される. さらに,このラベル剤がイムノアッセイ以外の標識にも使えることを証明するために,DNAハイブリダイゼーションアッセイを行い,4pg/wellのDNAを検出できた.
|