1998 Fiscal Year Annual Research Report
毛髪中化学成分と内因性疾患との関連づけに関する研究
Project/Area Number |
09670459
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
原 健二 福岡大学, 医学部, 助手 (00090738)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柏村 征一 福岡大学, 医学部, 教授 (70004710)
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Keywords | 内因性疾患 / 精神分裂病 / 行動異常 / 毛髪試料 / 化学成分分析 / 質量分析法 / ガスクロマトグラフィー |
Research Abstract |
精神分裂病などの神経障害は代謝異常障害異常を伴うものと考えられるが、未だに生化学的に明らかになっていない。この分野の代表的な研究の1つとして、尿・血液中における生体活性物質の詳細分析が行われている。このような分析では制限条件下でヒトから試料を採取する必要があり、剖検試料への適用は困難である。一方、毛髪中には、薬物などの化学物質が濃縮されることが証明されてきており、毛髪分析により代謝異常障害に関する情報を得ることが期待でき、本研究の着想に至った。本年度は、昨年度開発した毛髪中覚せい剤等アミンの微量分析法により、基礎データを収集することを目的とした。そこで剖検、ボランティア、精神神経疾患患者の毛髪を収集し、分析を行った。さらに、これら分析データと毛髪の主の行動・環境等との情報を整理し、本研究の目的を遂行するための調査対象化合物の検討を行った。これまで、総計約200例ほどの試料を分析し、若干の知見を得た。昨年度の予備分析において、或3ピークの出現に特徴があるのではないかと推測していたが、本年度は、この知見を確認することができた。2つは、おそらく生体成分であるが、本年度も同定できなかった。残りの1つはチラミンであり、ふつう生体内には食物により摂取される。このチラミンの著明な検出は、腐敗の影響を考慮し、他の腐敗関連物質を検出したデータを全て除外すると、主に精神分裂病患者や異常行動者の毛髪に特徴的であった。また、薬物治療中の精神分裂病患者からは、比較的低いレベルのチラミンを観察した。このアミンは2種のモノアミン酸化酵素の基質であり、過剰に存在すれば神経障害の原因になる可能性があり、今後、本化学物質を追究してゆく意味は高いものと考える。
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