1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09670460
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
田中 宣幸 産業医科大学, 医学部, 教授 (60126597)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 敏子 産業医科大学, 医学部, 講師 (80141745)
北 敏郎 産業医科大学, 医学部, 助教授 (00131912)
|
Keywords | びまん性軸索損傷 / リトラクションボール / MRI / fluid percussion injury |
Research Abstract |
びまん性軸索損傷(DAI)は、頭部外傷によって生じる広範囲な脳白質軸索の一次性損傷と定義されている。しかしながら、DAIの法医病理学的な発生メカニズムは未だ十分には解明されていない。最初に、これまでの報告に準拠してDAIモデルの作製を試みた。具体的には、雄Wistarラットの頭頂部に骨窓を開け、fluid percussion装置でcentral percussion injuryを発生させた。最大陽圧1,000mmHg・最大陰圧160mmHgの打撃によって、脳表面にくも膜下出血、脳室内出血、脳梁および脳幹部に点状出血が認められ、DAIモデルを作製することが出来た。このモデルでの死亡率は40%で、その死因は呼吸抑制によるものであった。次に、組織形態学的変化を検討した。動物用MRI装置を用いて浮腫の経時的変化を観察したところ、衝撃6時間後までは浮腫は認められず、衝撃24時間後から衝撃部位、脳梁部および脳幹部に浮腫が認められ、48時間後には軽減化した。光顕像(ボディアン染色)を観察すると、リトラクションボールは衝撃24時間後から大脳皮質の受傷部、脳梁部および脳幹部で確認された。さらに電顕による観察では、衝撃15分後に軸索のランビエ絞輪部でミエリンの断裂および軸索内のミトコンドリアの膨化が観察され、衝撃のごく初期から一次性障害が生じることが確認された。さらに、衝撃6時間後からミエリンの剥離などの変性像が顕著となり、24時間後まで軸索の膨化が増強した。衝撃48時間後では、ミエリンおよび軸索の変性は24時間後と同様で、マクロファジ-の貧食像などの修復像および浮腫の軽減化も認められた。したがって、24時間後までは軸索障害が進行していると考えられた。なお、DAIの臨床診断には、MRI像観察が重要であることが示唆された。
|