1998 Fiscal Year Annual Research Report
甲状腺機能亢進症モデルマウスにおける抗甲状腺刺激ホルモンレセプター抗体産生機序の解析
Project/Area Number |
09670468
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Research Institution | Chiba University School of Medicine |
Principal Investigator |
河野 陽一 千葉大学, 医学部, 教授 (60161882)
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Keywords | 甲状腺刺激ホルモンレセプター抗体 / 抗原提示能 / キメラレセプター / Costimulatory molecule / バカバウ病モデル動物 |
Research Abstract |
(1) 甲状腺機能亢進症を発症したマウスの脾細胞をRT4.15HP-TSHRを抗原提示細胞としてインターロイキン2の存在下に刺激を繰り返して、TSHR特異的T細胞株を樹立した。このT細胞株は、RT4.15HP-TSHR刺激によって増殖したが、クラスII分子を発現していないDAP.3-TSHRに対しては増殖しなかった。すなわち、RT4.15HP-TSHRは抗原提示細胞として、細胞表面上のクラスII分子がTSHRペプチドをT細胞に提示している可能性が強く示唆された。この結果は、通常はクラスII分子を発現していない甲状腺濾胞細胞がクラスII分子を異常発現するすることが、刺激型抗TSHR抗体の産生を開始あるいは増強する可能性を示している。 (2) マウス繊維芽細胞RT4.15HP細胞に、甲状腺刺激ホルモンレセプター(TSHR)遺伝子と分子的に相同性を有するラットの黄体形成ホルモン・絨毛膜性性腺刺激ホルモンレセプター(LH/CGR)とTSHRとのキメラレセプター遺伝子を導入・発現させた。導入するキメラレセプターは、TSHR細胞外ドメインのN末側をLH/CGRで置換したキメラレセプター(Mcl+2)およびTSHR細胞外ドメインのC末側をLH/CGRで置換したキメラレセプター(Mc4)を用いた。これらのキメラレセプターを発現するRT4.15HP細胞をAKR/Nマウスに免疫して抗TSHR抗体産生を検討したところ、Mc4発現マウス繊維芽細胞の免疫では、抗TSHR抗体の産生が認められたのに対し、Mcl+2発現繊維芽細胞の免疫ではまったく抗TSHR抗体が誘導されなかった。以上から、抗TSHR抗体産生にはTSHR分子上のN末側がきわめて重要であることが明かとなった。また、キメラレセプターを発現する繊維芽細胞に対するTSHR応答性T細胞株の応答性から、すくなくともTSHR上の下細胞エピトープが細胞外ドメインのN末またはC末領域にのみ存在しない可能性が示唆された。 (3) 免疫に用いた繊維芽細胞上にはCD80(B7.1)は構成的に発現していた。そこで、さらにCD86(B7.2)遺伝子を繊維芽細胞に導入して、CD80およびCD86を発現する繊維芽細胞株を樹立した。この細胞株にTSHRを発現させて免疫を行ったが、甲状腺機能亢進症を発症するマウスの頻度は変化しなかった。また、甲状腺組織障害像も観察されなかった。以上から、CD86分子の刺激型抗TSHR抗体産生に及ぼす効果は明らかにできなかった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Yamaguchi K et.al: "Genetic contrel of anti-thyvotropin veceptor autibody gene ration in H2^K mice immunited with tayrpotropin reccptor-tranifected fibroblasts" Journal of Chinical Endouinologry and mcfabolisn. 82. 4266-4269 (1997)
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[Publications] Kikuoka S et,al: "The formation of taytotripin vecepton (TSHR) autibodies in a firaucs,animal model reqiures the N-termiral segmant of the TSHR extracelluler domain" Eudocinology. 139. 1891-1898 (1998)