1997 Fiscal Year Annual Research Report
ダニ抗原発現ベクターを移入した乳酸菌の経口投与によるダニアレルギー発病の予防
Project/Area Number |
09670471
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
須甲 松信 東京芸術大学, 保健管理センター, 教授 (80107622)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土肥 眞 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (60222155)
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Keywords | ダニアレルギー / 経口トレランス / 乳酸菌 / 大腸菌 / ダニ抗原 / Der fII cDNA / IgE抗体 |
Research Abstract |
目的:年々増加傾向のあるダニアレルギー患者の発病を抑えるため、その第一次予防となるダニ抗原の経口トレランスを誘導する方法としてダニ抗原を発現した大腸菌や乳酸菌を経口させる動物実験を行う。 方法:平成9年度は、ダニDer fII抗原のcDNAを組み込みDer fII抗原を発現している大腸菌の加熱死菌をC57BLマウスにあらかじめ経口投与した後、Der fII抗原をAlumと伴に腹腔免疫し、そのIgE,IgG産生抗体産生能をELISA法にて調べた。 結果と考察:IgG抗体産生をみると、ダニ抗原発現大腸菌および非発現大腸菌経口マウスは、ともにPBSのみ経口マウスに比べIgG抗体産生が増強された。IgE抗体については、ダニ抗原発現大腸菌経口マウスが、非発現大腸菌を経口したマウスよりもより強いIgE抗体産生を示した。これらの結果は、最初の狙いにある経口トレランスは誘導されて、IgE,IgG抗体産生が推測されるという期待とは反するものであった。その理由は、1.経口トレランスがかかるほどの多量のDer fII抗原が経口されていない。2.大腸菌のもつアジュバント作用(LPSや細菌壁成分など)がトレランス誘導に勝っていたことが考えられる。また大腸菌にあるLPSは、Th2細胞を誘導すると言われているので、大腸菌ではIgE抗体産生を抑えるという目的は達せられないかも知れない。しかし最近抗原投与により抗体産生(B細胞)は増強することがあっても遅延型T細胞の反応は低下しているという報告があり、今回実験系にもT細胞反応は低下(T細胞トレランス)は起きている可能性は残っている。慢性のアレルギーは、細胞の関与が大きいことが認められつつあるので引き続き、このT細胞反応示の検討および大腸菌ではなく乳酸菌にダニ抗原cDNAを組み込ませ、Der fII抗原を発現した乳酸菌をマウスに投与し、IgE,IgG抗体産生とT細胞反応を検討する。
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