1997 Fiscal Year Annual Research Report
シェ-グレン症候群の病因としてのHTLV-1感染の意義
Project/Area Number |
09670481
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | 佐賀医科大学 |
Principal Investigator |
長澤 浩平 佐賀医科大学, 医学部, 教授 (00108721)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牛山 理 佐賀医科大学, 医学部, 助手 (40253596)
多田 芳史 佐賀医科大学, 医学部, 助手 (70284627)
鈴木 憲明 佐賀医科大学, 医学部, 講師 (40244024)
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Keywords | シェ-グレン症候群 / HTLV-1 / 膜型TNF-α / T細胞 / B細胞 / Ig産生 / RP105 |
Research Abstract |
シェ-グレン症候群(SjS)は自己抗体の産生を初めとする多クローン性免疫グロブリン(Ig)産生亢進を大きな特徴としているが,我々はその機序の1つとしてHTLV-1感染の役割を想定して研究を行っている。その過程でT細胞上の膜型TNF-αの重要性が明かとなってきた。すなわち、健常者末梢T細胞にHTLV-1を感染させたところ、細胞表面に膜型TNF-αを発現し、B細胞との共培養によりB細胞のIg産生を亢進させることを見出した。このIg産生は抗TNF-α抗体を加えることにより特異的に抑制された。5例の健常者の系で同様の結果を得ている。また、SjS患者のT細胞を用い、B細胞による自己抗体産生の有無を検討しているところである。一方、SjS患者の唾液腺組織における浸潤T細胞の膜型TNF-αの発現は一部の患者で高頻度に認められたが、必ずしも血清Ig濃度とは相関しなかった。 さらに、HTLV-1感染によって膜型TNF-αを誘導されたT細胞を固相化した抗TNF-α抗体で刺激すると、T細胞自身によるIL-2やIFN-γの産生が亢進するとともに、細胞接着因子であるE-セレクチンがT細胞表面に新たに誘導された。このように、HTLV-1感染によってT細胞上に誘導される膜型TNF-αはB細胞を刺激する他、T細胞自身にもシグナルを送り、免疫及び炎症反応を増幅する可能性が示されている。 最近、マウスの成熟B細胞上にある種の刺激に対してアポトーシスを誘導する新しい分子(RP105)が同定された。我々はこの分子に対するモノクローナル抗体を用いて、このRP105が健常者の全ての成熟B細胞上にも発現していることを見出した。ところが、SjS患者由来の株化したB細胞にはRP105が欠損していること、また、一部のSjSやSLE患者の末梢血にはRP105を欠損したB細胞が存在することがわかった。このことは、SjSやSLE患者のB細胞には、活性化やアポトーシスの面で異常があることが示唆され、現在解析を進めている。
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[Publications] Higuchi,M.,Nagasawa,K.,Horiuchi,T.,et al.: "Membrane tumor necrosis factor-α(TNF-α)expressed on HTLV-1-infected Tcells mediates a costimulatory signal for B cell activation." Clin.Immunol.Immunopathol.82. 133-140 (1997)
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[Publications] Ikeda,K.,Nagasawa,K.,Horiuchi,T.,et al.: "C5a induces tissue factor activity on endothelial cells." Thromb.Haemostasis. 77. 394-398 (1997)