1997 Fiscal Year Annual Research Report
胆石形成過程におけるムチン過剰発現機序の解明-アラキドン酸代謝及びムチン遺伝子から-
Project/Area Number |
09670509
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
正田 純一 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (90241827)
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Keywords | 肝内結石症 / 難治性疾患 / ホスホリパーゼA_2 / ムチン遺伝子 / 硫酸ムチン |
Research Abstract |
肝内結石症は難治性疾患の一つであり,その発生,進展の病態因子として,胆管炎ならびにムチン過分泌の重要性が従来より示唆されている.分泌型低分子ホスホリパーゼA_2(以下PLA_2)は炎症の進展に関与する可能性が指摘されており,我々は低分子PLA_2であるII型PLA_2が胆嚢結石症における胆嚢炎の増悪因子の一つであることを見出した.一方,胆嚢結石の形成に係わるムチン遺伝子も最近報告されている.今回は肝内結石症の成因解明のため,本症の胆管における低分子PLA_2およびムチン遺伝子の発現を解析し,さらに本症における胆汁組成の異常と対比することで,これら遺伝子発現とその変動の意義を検討した.胆管における低分子PLA_2mRNA発現量は,IIA型は本症の結石存在部位の胆管で対照に比して有意に増加していた.ムチン遺伝子の発現量は結石部位の胆管では対照と比較して,MUC1よりMUC6まですべての発現が増加していたが,特にMUC5B,MUC6が有意に増加していた.胆汁組成においてはIIA型PLA_2濃度は,本症の結石側および非結石側胆汁で有意に増加しており,結石側で顕著であった.リゾレシチンならびに総ムチン濃度はII型PLA_2濃度に比例して,本症で有意に増加していた.結石側胆汁では硫酸ムチンの増加が顕著であった.肝内結石症の胆管では胆管炎の増悪因子と考えられる分泌型低分子PLA_2の発現が著増しており,ムチン遺伝子ではゲル形成能の高いMUC5B,MUC6の発現が亢進していた.またこれらの異常は本症の発生,進展に深く関与する硫酸ムチンの発現増加の病態因子として重要であると考えられた.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Shoda J: "Simultaneous determination of plasma mevalonate and 7α-hydroxy-4-cholesten-3-one levels in hyperlipoproteinemia" Hepatology. 25. 18-26 (1997)
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[Publications] Shoda J: "Increased biliary group II phospholipase A_2 and altered gallbladder bile in patients with multiple cholesterol stones." Gastroenterology. 112. 2036-2047 (1997)