1997 Fiscal Year Annual Research Report
肝実質細胞と接着分子ICAM-1:その発現と肝障害における意義
Project/Area Number |
09670514
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大野 明彦 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (30223902)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富谷 智明 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (90227637)
池田 均 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (80202422)
持田 智 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (20219968)
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Keywords | 肝細胞 / 接着分子 / ICAM-1 / 肝障害 |
Research Abstract |
従来、肝細胞におけるICAM-1の発現はサイトカインによって調節されると考えられてきた。我々は、灌流肝や四塩化炭素投与肝における変性肝細胞にICAM-1抗原蛋白が発現することを観察し、これはサイトカイン調節を介した新生ではなく、隣接肝細胞との膜接触が解離したことによる抗原エピトープの露呈に基づくと想定した。 今回、その仮説をin situ hybridazationによってmRNAのレベルで検討した。ラットを用い、肝細胞の変性を生じるモデルとして、四塩化炭素または、死菌およびエンドトキシン、ガラクトサミン投与による障害肝と、隣接細胞との接着解離を生じるモデルとして、灌流肝モデルを作製した。組織学的検討のため、凍結組織標本以外にパラホルムアルデヒド、エタノール、PLP固定液にて灌流固定した肝組織標本を作製した。 四塩化炭素投与24時間後の類洞内皮細胞にはICAM-1mRNAのシグナルが認められたが、変性肝細胞には無かった。また灌流肝においても、灌流10分、および15分後の肝細胞にシグナルは得られなかった。このことより、これらモデルにおけるICAM-1蛋白の発現は、de novoの合成ではないと推定された。 現在、変性肝細胞におけるICAM-1抗原蛋白の発現機序を検討する目的で、ICAM-1分子の細胞外各ドメインを認識する特異的抗体を作製すべく、ICAM-1の細胞外蛋白を分離、精製することを試みている。
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