1999 Fiscal Year Annual Research Report
C型肝炎における肝傷害機序:抗原提示細胞の宿主防御免疫機構における役割
Project/Area Number |
09670527
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Research Institution | Fukui Medical University |
Principal Investigator |
藪 剛爾 福井医科大学, 医学部, 助手 (60240793)
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Keywords | C型慢性肝炎 / 末梢血樹状細胞 / 組み替えHCV抗原 / 抗原特異的増殖反応 / T細胞クローン |
Research Abstract |
C型慢性肝炎での持続感染の原因として樹状細胞機能低下によるHCV抗原特異的T細胞間のpriming状態の異常がないかどうかを検討した。C型慢性肝炎患者の末梢血からGM-CSFとIL-4で培養することにより、樹状細胞を誘導し、組み替えHCV蛋白抗原(core,NS3)およびpeptide抗原特異的ヘルパーT細胞増殖反応を誘導した。この増殖反応は非感染者よりは有意に増強していたが、他のPPD抗原などの反応はむしろ低下していた。樹状細胞によりHCV特異的に誘導された増殖T細胞では、peptideをパルスした標的細胞に対するCTL活性が認められたが、増殖応答の弱い抗原刺激に対してはCTL活性は認められず、上清中にIL-4活性の増強が認められた。このことは、樹状細胞の刺激でTh1型T細胞のみならず、Th2型T細胞が誘導される可能性があり、慢性肝炎患者間で抗原の種類やHLAのtypingに一定の見解は得られなかった。可能性としては、このようなTh2型T細胞がより有意に反応する状態が、HCV抗原の少なくとも一部分に対しては存在しており、それが持続感染の原因になっている可能性が示唆された。また、peptide抗原を用いたときと違って、crudeの組み替え蛋白を抗原として用いたときには、樹状細胞のみでは反応が弱く食作用のあるマクロファージによるprocessingが樹状細胞による抗原提示において必須であり、この行程が抗原特異的クローンの性質を左右する可能性も考えられた。
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