1997 Fiscal Year Annual Research Report
慢性肝疾患、肝細胞癌における細胞外マトリックス分解酵素に関する研究
Project/Area Number |
09670550
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
村脇 義和 鳥取大学, 医学部・附属病院, 講師 (90144659)
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Keywords | 肝疾患 / MMP-1 / MMP-2 |
Research Abstract |
慢性肝疾患および肝細胞癌で血清中の各種細胞外マトリックス分解酵素の臨床的意義を検討し、現在までに血清MMP-1(間質コラゲナーゼ)、MMP-2(ゼラチナーゼA)について下記の様な成績を得て、投稿準備中である。 血清MMP-1濃度は、我々が先に酵素活性で得た成績と同様に、慢性肝疾患において肝病変の進行とともに減少し、肝線維化病態ではMMP-1によるマトリックス分解が低下していることが示された。血清MMP-1は組織学的肝の壊死炎症の程度と密接に関連しており、臨床的には活動性と非活動性肝炎の鑑別に有用であった。一方、肝細胞癌では血清MMP-1が肝硬変レベルのものと著明な高値のものに分かれた。後者は一般に腫瘍径5cm以上の症例で、血清結合識関連マーカーが高値を示し、腫瘍内の組織学的線維成分が減少していたことより、肝癌での血清MMP-1は腫瘍の浸潤発育の評価に利用できる可能性が示唆された。 血清MMP-2濃度は、慢性肝炎では健常者と変わらなかったが、肝硬変および肝細胞癌では著明な高値を示した。肝硬変と肝癌で血清MMP-2に差はなく、肝癌での上昇は基礎肝病変である肝硬変によるものと思われる。血清MMP-2の上昇が硬変肝での増加によるかを剖検肝を用いて検討した。その結果、肝MMP-2濃度は肝コラーゲン量と密接に関連して増加し、血清MMP-2の上昇が病変肝由来であることが示唆された。臨床的には、血清MMP-2は慢性肝炎と肝硬変との鑑別に有用であり、その診断能は血清ヒアルロン酸と同程度であった。
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