1997 Fiscal Year Annual Research Report
サイレントB型肝炎におけるウイルスゲノムの解析と抗体測定系の確立
Project/Area Number |
09670580
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
藤瀬 清隆 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教授 (60057057)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新谷 稔 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (20198419)
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Keywords | サイレントB型肝炎 / PCR法 / 非A-E型肝炎 / G型肝炎ウイルス / B型肝炎ウイルス / シーケンス |
Research Abstract |
我々の施設において経験された原因不明の急性肝炎の中、polymerase chain reaction(PCR)法によるC型肝炎ウイルスRNA検査を含めた肝炎ウイスルマーカーが全て陰性で、非A-E型肝炎と診断された10症例(そのうち劇症肝炎2例、遷延化1例)を対象とした.これらは全症例とも経過を通してB型肝炎ウイルス(HBV)マーカーは全て陰性であった。これら症例の保存血清を用いて、G型肝炎ウイルス(HGV)についてはLinnenらの報告などに基づき、HGVゲノムの5'非翻訳領域とヘリカーゼ領域に各々相補的オリゴヌクレオチド(プライマー)の対を作製し、nested RT(reverse transcription)-PCR法にてHGV-RNAの検出を試みたが、全症例において増幅はみられなかった。次に、Omataら、Uchidaらの報告に基づき、プレコア、S、Xの各領域の増幅が可能なプライマーの対を作製し、nested PCR法によりHBV-DNA断片の増幅を試みた。その結果、プレコア領域のプライマーにて、対象の10症例のうち2例の劇症化例を含む8例においてHBV-DNAの増幅がみられた。次に、直接塩基配列決定法によりこれらPCR増幅産物のシーケンス解析を行い、HBVゲノムの配列を有することが確かめられ、劇症化例のうち1例で、B型劇症肝炎症例において認められたと同様に、プレコア領域の28番目のセンスコドンがスットプコドン(TGG)へと変異していることが明らかとなった。一方、S領域のプライマーではHBV-DNAの増幅はみられなかったが、X領域のプライマーにて10症例のうち2例の劇症化例を含む6例においてHBV-DNAの増幅がみられた。これらX領域の増幅されたバンドのサイズは、対象としたHBVキャリア症例と比べると、大小不同で複数みられる例もあり、HBV-DNAの欠損、重複などの変化と多様性が示唆されるが、現在シーケンス解析を行い検討中である。
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Research Products
(1 results)