1998 Fiscal Year Annual Research Report
膵機能調節における新しいメカニズムの発見とその遺伝子発現の発生学的調節機構の解明
Project/Area Number |
09670582
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
清水 京子 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (90187451)
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Keywords | ランゲルハンス島 / コレシストキニン / ガストリン |
Research Abstract |
前年度の検討の結果、ラットの膵ランゲルハンス島のB細胞でコレシストキニン(CCK)が産生されることが証明された。そこで今年度はランゲルハンス島におけるCCKの発生学的変化について検討した。成熟雌雄のラットを交配させ、胎生期から出生直後、および成熟期までの各段階のラットを発生初期のものは胎児全体を、胎生後期以降のものは膵を摘出し固定後、パラフィン包埋し、CCK-8およびガストリン、インスリン、グルカゴン、ソマトスタチン、ppに対する特異抗体を用いて免疫組織化学染色により検討した。CCK-8陽性細胞は胎生15日目から出現し、胎生18日目から出生後2日目にかけて膵ランゲルハンス島の辺縁部に局在した。その後、CCK陽性細胞は消失したが、出生21日目より成熟期にかけて再度発現が認められ、この局在は胎生期と異なりランゲルハンス島のB細胞に一致してびまん性に分布した。一方、ガストリンは胎生期にはCCKと同様に胎生15日目より発現し、出生後2B目までランゲルハンス島の辺縁部に陽性細胞が認められたが、それ以降は成熟期まで発現は認められなかった。CCKのC末端のアミノ酸残基がガストリンと共通であることからガストリンとの交叉反応を調べるために吸収試験を行ったところ、胎生期から出生直後におけるCCK発現はガストリンとの交叉反応であることが確認された。しかし、成熟期にはガストリン陽性細胞はなく吸収試験でもガストリンとの交叉反応は否定された。ランゲルハンス島のCCKは胎生期には認められず、出生21日目頃(離乳期)から成熟期にかけて発現したことから、ランゲルハンス島のCCK発現は発生学的に調節され、離乳時期がCCKの調節に重要であることが推測された。
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[Publications] Kyoko Shimizu: "Evidence for the Existence of CCK-Producing Cells in Rat Dancreatic Islets." Endocrinology. 139・1. 389-396 (1998)
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[Publications] Kyoko Shimizu: "Nonfunctioning Islet Cell Tumor with a Unique Pattern of Tumor Growth" Digestive Diseases of Sciences. in press. (1999)