1998 Fiscal Year Annual Research Report
慢性炎症性気道疾患に特異的な塩素イオン電流の発現機構の解明
Project/Area Number |
09670593
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐々木 司 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (10241598)
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Keywords | 粘液線毛輸送 / 気道分泌 / 気道粘膜下腺 / 慢性気管支炎 / マイクロライド系抗生物質 / パッチクランプ / 気道平滑筋 / イオン電流 |
Research Abstract |
前回(平成9年度)の実績報告書において報告したように、本年度の研究項目の中で、ヒト気道上皮における慢性気管支炎に特異的な塩素イオン電流の発現については、正常および慢性気管支炎症例の手術標本が少数例しか入手できず、入手できたものでも量的に不十分であり結論的なデータを出すには至っていない。しかし、すでに報告したウサギで得られたデータ(J.Clin.Invest.1997)は、慢性炎症性気道疾患の気道過分泌のメカニズムとして極めて重要なものと考えられ、気道分泌の制御に直接関連するものであることから、今後も継続して例数を増やしていく予定である。 粘膜上皮組織のほかにも平成10年度の研究期間内に、気道を構成する諸組織の電気生理的性質およびその病態についての知見が集積しており、ほぼ研究を終了し論文準備中の二件について略記する。一つは気道平滑筋の電気的性質に及ぼす多価陽イオン蛋白の影響についてである。気管支喘息は、慢性好酸球性気道炎症として認識されており、好酸球が放出するMajor Basic Protein(MBP)は気道上皮傷害や気管支平滑筋の収縮を惹起することが知られている。しかし気道平滑筋収縮を惹き起こす細胞機構についてはいまだ報告を見ない。MBP類似の多価陽イオンであるpoly L Arginineおよびpoly L Lysineを用いて、これらがカルシウム依存性カリウムチャンネルを阻害し、その開口確率ならびに電気伝導度を有意に減少させることにより、気道平滑筋細胞膜の脱分極を起こしこれが細胞外からのカルシウム流入をもたらす原因となることを見い出した。また、気道粘膜下腺の腺房細胞において、ホスホジエステラーゼ(PDE)5型の阻害剤が低濃度アセチルコリンによる電解質分泌を有意に増強させ、これが細胞内サイクリックGMPを介するものであることを認めた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Irokawa, T. Sasaki, T., et al.: "Cholinomimetic action of macrolide antibiotics on aieway gland electrolyte secretion." American Journal of Physiology (Lung Cell.Mol.Physiol.). in press. (1999)
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[Publications] Nara, M., Sasaki, T., et al.: "Effects of histamine and endothelin-1 on membrane potentials and ion currents in bovine tracheal smooth-muscle cells." American Journal of Respiratory Cell and Molecular Biology. 19. 805-811 (1998)
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[Publications] Iwase, N., Sasaki, T.et al: "Signature current of SO_2-induced bronchitis in rabbit" Journal of Clinical Investigation. 99. 1651-1661 (1997)
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[Publications] Ebihara, S., Sasaki, T.et al: "Role of cyclic ADP-ribose in ATP-activated potassium currents in alveolar macrophage" Journal of Biological Chemistry. 272. 16023-16029 (1997)
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[Publications] Iwase, N., Sasaki, T.et al: "ATP-induced Cl-secretion with suppressed Na absorption in rabbit tracheal epithelium" Respiration Physiology. 107. 173-180 (1997)
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[Publications] Sasaki, T,.et al: "Apically localized IP3 receptors control chloride current in airway gland acinar cells" American Journal of Physiology (Lung Cell.Mol.Physiol.). 267. 152-158 (1994)