1997 Fiscal Year Annual Research Report
肺癌の腫瘍血管造成因子としてのインスリン様成長因子-IIの役割
Project/Area Number |
09670602
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡部 哲郎 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (80169135)
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Keywords | 血管内皮細胞 / 増殖因子 / インスリン様成長因子-II / 肺癌 |
Research Abstract |
肺癌が産生する血管内皮細胞の増殖因子にはfibroblast growth factor(FGF),vascular endiothelial growth factor(VEGF)などのheparinに親和性を持つものが報告されている。我々は最近各種癌細胞の血管内皮細胞増殖因子の産生を検討したところある肺の扁平上皮癌の培養上清に非常に強い活性を検出した。培養上清中の増殖活性を生化学的に検討したところ40%硫安分画に活性が認められた。さらにTSK3000SWによるsize exclusion chromatographyで分子量約12,000の位置に分画された。活性分画をheparinaffinity columnに吸着されなかった。これらの結果からこの肺癌はheparinに親和性のない新たな血管内皮増殖因子を産生していると考えられた。この増殖因子のcDNAのexpression cloningをCOS-1細胞をもちいて行った。得られたcDNAの塩基配列はlnsulin-like-growth factor-II(IGF-II)と同じであった。これらの結果よりこの肺癌細胞がIGF-IIを産生していることが判明した。 培養上清中の血管内皮増殖活性がIGF-IIによるものか否かIGF-に対するモノクローナル抗体による吸収試験を行った。培養上清中の活性はIGF-に対するモノクローナル抗体によって完全に吸収された。以上よりこの肺癌が産生している血管内皮増殖因子はIGF-IIであることが判明した。この肺扁平上皮癌以外に5種類の小細胞癌の培養上清中に血管内皮細胞に対する増殖活性が認められた。これらの活性がどの増殖因子によるのか検討中である。
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