1997 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍特異的発現プロモーターを用いた肺癌の遺伝子治療
Project/Area Number |
09670612
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
林 清二 大阪大学, 医学部, 講師 (70218577)
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Keywords | 肺癌 / HSV-tk / CEAプロモーター / Cre / loxPシステム / Myc癌遺伝子 / ガンシクロビル / 非増殖型アデノウイルスベクター |
Research Abstract |
CEA高値の肺腺癌株に対し、CEAプロモーターの制御下にHSV-tkを発現する非増殖型アデノウイルスベクター(Ad.CEA-TK)を用いて治療実験を行った。ヌードマウスの皮下に移植されたCEA産生癌に同ベクターで遺伝子導入後、ガンシクロビル(GCV)を投与したが、その治療効果は不充分であり、増大速度の抑制が得られる程度であった。これは、CEAプロモーターの活性の低さに起因するところが大きいと考えられた。現在、我々は、この問題点を克服すべく、Cre/loxPシステムを用い、特異性を保ち且つより強力なHSV-tkの発現を目指している。すなわち、CEAプロモーターの制御下にCreリコンビナーゼを特異的に発現するAd.CEA-Creと、Creにより2つのloxP siteに挟まれたstuffer遺伝子が外れて初めて、強力なCAGプロモーターの制御下にHSV-tkを発現するAd.CAG-loxP-TK)を、同時にCEA産生癌細胞に感染させることにより、上記問題点を解決しようというものである。すでにこれら2種のアデノウイルスベクターが管制しており、その有効性を、従来のAd.CEA-TK単独感染症と、in vitroにて比較検討中である。 Myc癌遺伝子増幅小細胞肺癌に対しては、皮下腫瘍モデルにおいて、OC-10株(c-myc高発現)OS2-R株(L-myc高発現)ともに、Ad.Myc-TKで遺伝子導入後のGCV投与により、有意な腫瘍退宿を認めた。OS2-R株を用いた癌性腹膜炎モデル(人の癌性胸膜炎のマウスモデルになると思われる)では、Ad.Myc-TKを腹腔内投与後GCV治療群で、腫瘍接種130日後においても、約1/4(15匹中4匹)で、desease freeの状態であった。現在、この結果が統計学的に有意なものかどうかを判定するため、数を増やして追試を行なっている。
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Research Products
(1 results)