1997 Fiscal Year Annual Research Report
特発性間質性肺炎におけるサイトケラチンの発現と局在、およびその臨床系意義
Project/Area Number |
09670622
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
菅 守隆 熊本大学, 医学部, 助教授 (20154437)
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Keywords | サイトケラチン / 特発性間質性肺炎 / II型上皮細胞 / 単層・重層扁平化上皮 / 気管支化生上皮 / リモデリング |
Research Abstract |
間質性肺疾患の上皮系細胞におけるサイトケラチン(CK)サブクラス発現の変化の検討:特発性間質性肺炎(IIP)および他の間質性肺炎の胸腔鏡下肺生検組織と孤立性肺癌切除肺の正常部分を用いて以下の検討を行った。1)肺組織におけるCKサブクラスの発現と分布:i)各CKサブクラスに特異的な抗体を用い、酵素抗 体間接法による免疫染色、ii)in situ hybridization法による発現と局在、2)肺組織、血清中のCKサブクラスの定量:i)10mm^3の生凍結肺組織からCK-rich fraction抽出し定量、ii)各CKサブクラスに特異的な抗体を用いたindirect ELISAを確立し、組織、血清中の各CKサブクラスを定量した。 結果:(1)IIPの肺組織では多様な被覆上皮が観察され、CK8,17の発現が増加していた。(2)IIPの肺組織では、CK17を発現する単層・重層扁平化生上皮、立方状上皮、気管支化生上皮の増生が特徴的であり、これらは細気管支上皮の基底細胞由来であることが推察された。(3)不規則な線維化巣を被覆する立方状上皮細胞は、CK17の発現の有/無で2群に分けることが出来、前者は細気管支基底細胞由来の上皮細胞、後者はII型上皮細胞と推察された。 上皮細胞に発現するCKは、その起源、分化度や機能により異なり、IIPでみられる上皮にCK発現の特徴ある変化を認めた今回の結果は、これらの上皮の機能的変化を裏付けるものとともに肺のリモデリングに上皮の機能が重要と考えられた。
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