1997 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子工学的手法を用いた肺動脈の低酸素応答の分子生物学的解析と制御の研究
Project/Area Number |
09670629
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
瀬戸口 靖弘 順天堂大学, 医学部, 助手 (90206649)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡 正彦 順天堂大学, 医学部, 助手 (60203965)
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Keywords | 低酸素性肺高血圧 / 低酸素応答 / HIF / ベクター / 肺動脈 / 内皮細胞 / 分子生物 / 遺伝子工学 |
Research Abstract |
低酸素性肺高血圧の進展には、筋性肺動脈の収縮と中膜の肥厚、非筋性肺動脈への平滑筋増殖が認められる。このような病理学的所見から肺動脈の解剖学的位置によっても低酸素応答の相違が存在するのか、また肺動脈の低酸素応答の特性を分子レベルで明らかにし、さらに、その結果を基に低酸素性肺高血圧進展の制御の可能性を探ることを最終的な目的として本研究を行う。平成9年度に行った研究は以下の通りである。 1.低酸素誘導転写制御因子の一つHIF1α(hypoxia inducible factor)をコードするcDNAを低酸素培養下ヒト肝臓癌細胞株(Hep3B)よりクローニングした。 2.HIF1αcDNAの一部をプローブにして低酸素培養下Hep3B細胞株、ヒト肺胞上皮細胞株(A549)、ヒト肺動脈内皮細胞のHIF1αの発現を経時的に調べた結果、Hep3B細胞株、肺動脈内皮細胞では、低酸素曝露前でもわずかに発現を認め、以後48時間まで発現の程度は高まる傾向を示した。特にHep3B細胞株では低酸素曝露12時間で肺動脈内皮細胞以上のHIF1αの高い発現を示した。A549細胞株ではHIF1α発現はHep3細胞株、肺動脈内皮細胞に比し著しく低い傾向を示した。血管内皮細胞の血管増殖因子(VEGF)、エンドセリンの発現は低酸素により増加した、また低酸素刺激によるエンドセリン-1の発現は大動脈内皮細胞より肺動脈内皮細胞でより高い傾向を示した。低酸素培養下肺動脈内皮細胞でHIF1αの発現が高まることやエンドセリン-1の発現が大動脈より高いことは、肺動脈が低酸素性血管収縮を示すことや、低酸素性肺高血圧の進展との強い関わり合いが示唆された。次年度は、低酸素応答を詳細に評価するために低酸素応答性の定量化を試みる。その手段として遺伝子工学的方法を用いてHIF1αの認識する塩基配列を組み込んだレポーター遺伝子発現ベクターを作成する。そして、そのベクターを用いて肺動脈を含む各種血管内皮細胞の低酸素応答を評価する。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Tamaki Y, Setoguchi Y, et al: "Amelioration of pulmonary hypertension byusing transfer of ceNOS cDNA into airway" Am J Respir Crit Care Med. 155. A442 (1997)
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[Publications] Abe K, Setoguchi Y, et al: "In vivo adenovirus-mediated gene transfer and expression in ischemic and reperfused rat brain" Brain Res. 763. 191-203 (1997)
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[Publications] Abe K, Setoguchi Y, et al: "Dissociative expression of adenoviral-medrited E.cdilacZ gene between ischemic and reperfused rat brain" Neurosci Let. 226. 53-56 (1997)