1997 Fiscal Year Annual Research Report
放射線肺臓炎発症機序の解明(一酸化窒素NOの関与)
Project/Area Number |
09670630
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
辻 千鶴子 東海大学, 医学部, 講師 (80130079)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
広田 有希 蓮見癌研究所, 助手
谷垣 俊守 東海大学, 医学部, 講師 (90246091)
塩谷 寿美恵 東海大学, 医学部, 助教授 (20102840)
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Keywords | 一酸化窒素(NO) / 放射線 / 誘導型NO合成酵素(iNOS) / 肺傷害 / アミノグアニジン |
Research Abstract |
放射線による肺臓炎およびその後に進展する肺腺維化は臨床上しばしば問題となるが、その病態発生機序は現在までのところ十分に解明されていない。本研究は放射線肺臓炎発生機序の解明を目指し、特にNOの役割を解明することを目的とした。今年度はラット左胸部に^<60>Co 20Glyを照射して放射線照射モデルを作成し、誘導型NO合成酵素(iNOS)mRNAの発現、およびiNOSタンパクの定量、NOとスーパーオキサイドアニオンとの反応により産生される細胞傷害性のパーオキシナイトライト(ONOO_<1->)の生成、およびiNOS阻害剤の効果について検討した。その結果、iNOS mRNAはコントロールでも発現していたが、放射線による肺の急性炎症が起こる時期(放射線照射2週目)に一致して発現が増加した。また、iNOSタンパクも同様に増加した。ONOO_-の生成はチロシンのニトロ化によって評価した。コントロールではニトロチロシンは検出されなかったが、放射線照射2週目で検出され、放射線照射によるONOO_-の生成が示唆された。iNOSに比較的特異的な阻害剤であるアミノグアニジンを放射線照射前および照射後に飲水中および皮下注射により投与し、その効果を検討した。肺傷害の検出には気管支肺胞洗浄液中のLDHおよびタンパク量、肺障害の早期の検出が可能と考えられている核磁気共鳴(NMR)を用いたプロトン緩和時間により評価した。アミノグアニジンの投与により放射線照射2週目に観察される急性傷害をほぼ完全に抑制した。これらの結果からNOが放射線照射により産生され、肺の急性期の傷害の発生に重要な役割を果たしている可能性が示唆される。
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