1997 Fiscal Year Annual Research Report
脳スライス培養系における神経回路形成と内因性物質の神経毒性に関する研究
Project/Area Number |
09670641
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
桜井 正樹 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (30162340)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 茂 広島大学, 医学部・総合薬学科, 教授 (60160503)
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Keywords | スライス培養 / 共培養 / 中脳 / 線条体 / 1-Bn-TIQ / ドパミン / パーキンソン病 |
Research Abstract |
胎生16日令のラット中脳腹側部と1-2日令新生ラット線条体からスライスを作成し、これをコラーゲン被覆した多孔質膜上に約500μm離して静置し、共培養した。対照として、生後1-2日令の大脳皮質、海馬、小脳のスライスを中脳腹側部と共培養した。培養液はDMEM/F12にN2 supplementを加えたものを用い、一定期間共培養した後、中脳腹側部、線条体をそれぞれ切り離し、ドパミン(DA)を生化学的に定量するか、または、これをパラフォルムアルデヒドにて固定し、凍結後薄切りして、tyrosine hydoxylase(TH)に対する抗体を用いて免疫組織化学的に検索した。 中脳から線条体に至るDA作動性神経の終末は、培養開始後3日目には線条体のかなり奥まで入りこみ、多数の棍棒状をした成長円錐growth coneが突起の先端に観察される。線条体のDAを定量すると、培養開始直後には低下するが、約2週でピークに達し、培養開始前の%となる。以後緩やかに低下していき、一ヶ月後に約%となる。このDA細胞の突起伸張は線条体に対して特異的なもので、co-cultureの相手が小脳あるいは海馬などであると突起が進入していかない。それぞれのcultureの組織DA含量を測定すると、線条体には中脳自身に匹敵するドパミンが存在するが、小脳・海馬にはごくわずかしか存在しない パーキンソン病の内因性原因物質候補の一つである1-Bn-TIQを培養液中に10、30、100μM添加すると、中脳、線条体のDA含量は用量かつ時間依存的に低下し、100μMでは24時間で対照の約10%、7日では検出限界以下にまで低下していた。また、100μM、7日間投与で、培養開始後7日目に交換された培養液のLDH含量は対照に比し増大していたが、小脳、海馬、大脳皮質などの単独培養に対して1-Bn-TIQを投与した場合には変化が見られず、この物質の作用の特異性が示唆される。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Kotake Y, Sakurai M, et al.: "Toxicity of1-Bn TIQ,endogenous amine in the brain,in mesencephalic slice cuture." Progress in Alzheimer's and Parkinson's Diseases. in press (1998)
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[Publications] Takuma H, Sakurai M.et al.: "Reconstruction of corticospinal tract in vitro by the organotypic coculture." Neurosci Res. 21. S136 (1997)
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[Publications] Sakurai M, Kotake Y.et al.: "Nigrostratal projection reconstructed in in vitro organotypic slice culture." Soc.Neurosci.Abst. 23. 82.12 (1997)
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[Publications] Yamasoba T, Sakai K, Sakurai M: "Role of acute cochlear neuritis in sudden hearing loss in multiple sclerosis." J.Neurol.Sci.146. 179-181 (1997)
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[Publications] Mizuno T, Sakurai M, et al.: "Conditions for inducing long-term depression in the CA1 hippocampus." Neurosci Res. 21. S166 (1997)
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[Publications] Mizuno T, Sakurai M, et al.: "Conditions for inducing synaptic plasticity in the CA1 hippocampus." Soc.Neurosci.Abst. 23. 579.10 (1997)
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[Publications] 桜井正樹(共著): "最新内科学大系・神経・筋疾患4神経変性疾患" 中山書店, 346 (1997)
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[Publications] 桜井正樹: "今日の診断指針" 医学書院, 2014 (1997)