1998 Fiscal Year Annual Research Report
新しい末梢性髄鞘蛋白の分子生物学的研究及び臨床神経学への分子遺伝学的応用
Project/Area Number |
09670643
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
古川 哲雄 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (80134667)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鎌田 智幸 東京医科歯科大学, 医学部, 助手
山田 正仁 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (80191336)
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Keywords | ミエリン / 馬尾 / ウエスタンブロット / 可溶化 / 界面活性剤 / 二次元電気泳動 |
Research Abstract |
生化学的にミエリン蛋白を解析するためには、多豆の精製ミエリン蛋白を必要とする。そこで屠殺直後のウシ馬尾部をミエリン精製の材料として用いた。まず、ウシ馬尾とヒト馬尾をSDSサンプルバッファーでホモジナイズ後電気泳動し、ウシとヒトのミエリン蛋白の免疫生化学的な違いについて検討を行った。その結果、抗体への反応性や電気泳動上の移動度、組織中の含有量がほぼ同一であったことから、このミエリン蛋白の解析にはウシ組織もヒトと同様に扱えることが判明した。次に、構成蛋白の比重の違いを利用してミエリン分画を分離するため、大量のウシ馬尾組織をホモジナイズして超遠心機にかけた。さらにこの操作を繰り返しほぼ純粋な末梢性ミエリン分画を得た。この精製ミエリンの一部をSDSサンプルバッファーで処理し、未精製の牛馬尾サンプルとともに電気泳動を行って、ウエスタンブロットで解析したところ、精製ミエリンは未精製サンプルと同様の免疫反応性を持ち、これらが同一の標的蛋白を含んでいることを示していた。我々は、二次元電気泳動を使って標的蛋白を単離するために、様々な界面活性剤を使って精製ミエリンの可溶化を試みた。尿素やトライトンXなどの非イオン性界面活性剤では全く可溶化できなかった。一方、SDSやサルコシン等のイオン性界面活性剤ではある程度可溶化は可能であった。イオン性界面活性剤は等電点電気泳動には使用できないため、非イオン性界面活性剤に少量のイオン性界面活性剤を混入する方法で等電点電気泳動を試みた。しかし標的蛋白のスポットは広範な等電点間に帯状に広がってしまい、きれいな分離はできなかった。標的とする蛋白の疎水性や分子間の結合力が強いため通常の可溶化操作では十分に可溶化できず、等電点電気泳動できれいに分離できないのであろうと推察した。
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