1998 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病性神経障害における細胞内情報伝達系とチャンネル機能の連鎖機構の解明
Project/Area Number |
09670652
|
Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
安田 斎 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (80135467)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西尾 善彦 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (40281084)
寺田 雅彦 滋賀医科大学, 医学部, 助教授 (00227521)
北里 宏 滋賀医科大学, 医学部, 名誉教授 (20079700)
|
Keywords | 痛覚 / 後根神経節細胞 / Naチャネル / TTX抵抗性 / 糖尿病 / パッチクランプ / 膜電位固定 |
Research Abstract |
本年度は糖尿病ラットの後根神経節(DRG)小型細胞(直径20-27μm)に発現し痛覚に関与しているterodotoxin-抵抗性(TTX-R)Naチャネルの機能について、特に糖尿病発症早期のラットで検討した。糖尿病は8週のオスSDラットにストレプトゾシン(50mg/kg)を尾静脈へ静注して作製し6週後実験に用いた。腰部DRGをコラゲナーゼとトリプシンで処理しDRGニューロンを単離し、ポリオルニチンをコートしたカバーグラス上に細胞を撒布して2〜7時間培養した後実験に用いた。ホールセルパッチクランプ法にて細胞全体を流れるTTX-R Na電流を測定し次の結果を得た。 1. DRGニューロンのTTX-RNa電流及び電流密度は糖尿病ラットで対照群に比較し増大していた。 2. PRGニューロンのTTX-RNa電流の活性化速度及び不活性化速度は両群で差を認めなかった。 3. 静止膜電位を含む電位幅、-90mV〜-40mVに保持した後、脱分極させた時のTTX-RのNa電流密度は糖尿病群で増大していた。 4. DRGニューロンのTTX-RNaチャネルは糖尿病群でより過分極側から活性化及び不活性化された。 今回明らかとなった高血糖によるTTX-RNaチャネル電流・電流密度の増加及び過分極側で活性化される所見は、本チャネルを発現するCfiberの過分極側での活動電位の発生を意味する。本チャネルはDRGと同様に末梢でも発現しているので、本チャネルの興奮性亢進は末梢での痛覚閾値の低下を起こすと考えられる。またDRGにおいても正常状態より活動電位を発生しやすいので自発興奮を増加させうる。以上の変化は糖尿病ラットの痛覚閾値の低下の一因となっている可能性がある。
|
Research Products
(1 results)