1998 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子導入による脳内レニン-アンジオテンシン系及び中枢性循環制御機構の解明
Project/Area Number |
09670656
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
守口 篤 大阪大学, 医学部, 助手 (10273666)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森下 竜一 大阪大学, 医学部, 助教授 (40291439)
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Keywords | 遺伝子導入 / HVJ-リポソーム法 / アンジオテンシン変換酵素 / アンジオテンシンII / アンジオテンシノージェン / 中枢神経系 / 血圧調節機構 |
Research Abstract |
脳へのヒトアンジオテンシン変換酵素遺伝子の導入による高血圧モデル動物の確立 ヒトのアンジオテンシン変換酵素(ACE)遺伝子をラット脳内に導入し、脳内R-A系のみが特異的に亢進したモデル動物の作成に成功した。本モデル動物における導入遺伝子の脳内での局在を免疫組織化学法により詳細に検討したところ、ヒトACEは脳室周囲に広範囲に認められ、また脳内の主なアンジオテンシンII作用部位でもある視床下部の室傍核や視索上核、脳幹部の延髄腹側部においてもヒトACEの強い発現を認めた。 これらの部位はバゾプレッシン系やオキシトシン系、あるいはカテコラミン系などのニューロンが複雑なネットワークを構築している部位でもある。大脳皮質、視床下部、延髄でのACE活性亢進(またそれによるアンジオテンシンII産生亢進)が様々な神経伝達物質に影響を及ぼし血圧上昇を惹起したものと思われた。 遺伝的高血圧ラットの高血圧発症、維持における脳内アンジオテンシノージェンの役割 ヒトの本態性高血圧のモデルとして繁用されている自然発症高血圧ラット(SHR)を用いて、脳内アンジオテンシノージェンの発現調節機構の解明を試みた。まずSHRの脳組織を用い、ゲルシフトアッセイ法により、ラット脳神経組織の核抽出物中に、アンジオテンシノージェン遺伝子活性化配列に対する結合因子の存在をはじめて証明しえた。さらに、この結合因子に対する二本鎖のおとり型核酸をHVJ-リポソーム法にて、脳内に導入すると一過性の血圧低下、ならびに脳内アンジオテンシノージェン濃度、アンジオテンシンII濃度の低下が確認された。脳内レニン-アンジオテンシン系の根幹であるアンジオテンシノージェンの分泌調節機構を遺伝子レベルで確認でき、今後の詳細な解明の端緒となる成果が得られた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Morishita R,Moriguchi A: "Contribution of a vascular modulator, hepatocyte growth factor (HGF), to the pathogenesis of cardiovascular disease." Journal of Atherosclerosis and Thrombosis. 4. 128-134 (1998)
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[Publications] Morishita R,Moriguchi A,: "Oligonucleotide-based gene therapy for cardiovascular disease." Clinical Chemistry and Laboratory Medicine. 36. 529-534 (1998)
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[Publications] Morishita R,Moriguchi A,: "Gene therapy for cardiovascular disease: is gene therapy a real medicine in next millennium?" Proceeding of 3rd Gene Cross International Symposium.in press.
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[Publications] Nakamura S,Moriguchi A,: "Activation of the brain angiotensin system by in vivo human angiotensin converting enzyme gene transfer in rats." Hypertension. in press.
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[Publications] 西居忠彦、守口 篤、: "中枢性循環調節における転写因子結合配列と結合蛋白の検討血圧" 印刷中. (1999)