1998 Fiscal Year Annual Research Report
脳梗塞における活性化プロテインCの血行動態に関する研究
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09670672
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
北川 泰久 東海大学, 医学部, 助教授 (30124944)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畑 隆志 東海大学, 医学部, 講師 (90129601)
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Keywords | 脳梗塞 / 活性型プロテインC / 心原性脳塞栓症 / トロンビンアンチトロンビンIII複合体 |
Research Abstract |
プロテインCはビタミンK依存性蛋白の一つで、血管内皮細胞のトロンボモデュリンに結合したトロンビンにより活性化され、活性型プロテインCとなる。活性型プロテインCは凝固系の活性型第VIII因子と活性型第V因子を抑制し、血液凝固阻止因子として働き、その欠乏および機能異常は血栓症に関連するとされている。従来の血漿プロテインC濃度は活性%で表され、絶対量を表したものではない。本研究の目的は急性期脳梗塞症例における活性型プロテインC濃度(APC)の絶対量を測定し、その意義を検討することにある。対象はラクナ梗塞(LI)15例(平均年齢70歳)、アテローム血栓性脳梗塞(ATI)21例(73歳)、心原性脳塞栓症(CE)11例(80歳)である。APC濃度の測定はEnzyme capture assayの原理を用いた方法で行った。すなわちAPCのrevesible inhibitor、すなわちベンザミンを含む抗凝固剤を用いて採血し、酵素活性を阻害しない固相化抗体で選択的にAPCをcaptureした。その後に洗浄操作によりreversible inhihibitorを除去し、captureしたAPCのAmidoytic activityを測定した。これと同時にTAT、D-dimerなどの凝固・線溶マーカーも測定した。APC濃度の測定は発症24時間以内の超急性期、発症後4-7日の急性期、発症後8-14日の亜急性期と発症後30日の慢性期の4つの時期に行った。発症別時間以内のAPC濃度はLI、ATI、CEそれぞれ2.5±0.8、3.3±0.8、3.1±1.1を示し、CEでもっとも高値を示し、CEとLIとの間に有意差を認めた。APCは時間経過とともに減少する傾向を示した。凝固マーカーとの関連ではCEにおいてAPC濃度とprothrombin fragment 1+2との間に有意な相関(p<0.05)を認めた。APC濃度とNIH stroke scaleとの間には有意な相関を認めなかった。血管支配別の検討では穿通枝と皮質技領域ではAPC濃度に有意差を認めなかった。今後、APCの補充療法は急性期治療の1つとして期待できるが、測定系の感度などさらに検討を要する。
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