1999 Fiscal Year Annual Research Report
タイラーウイルスを利用した外来遺伝子の中枢神経内導入の試み
Project/Area Number |
09670675
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
大原 義朗 金沢医科大学, 医学部, 教授 (50203914)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小渕 正次 金沢医科大学, 医学部, 助手 (70257450)
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Keywords | タイラーウイルス / 中枢神経 / 外来遺伝子 / ベクター / マクロファージ |
Research Abstract |
昨年度までの研究により、タイラーウイルス持続感染細胞であるマクロファージではDA株は増殖しウイルスゲノムの維持は可能であるものの、GDVII株はほとんど増殖せずゲノムの維持は不可能であることを明らかにした(J.Virol.71:729-733,1997)。さらにこの現象はマクロファージ細胞のみで認められること(Microbiol.Immunol.43:885-892,1999)、そしてリコンビナントおよび点変異ウイルスを用いることにより、マクロファージにおけるタイラーウイルス増殖にはL蛋白翻訳領域1079ntのAUGから翻訳されるL^*という蛋白が重要であることを示した(J.Virol.72:4950-4955,1998)。本年度はこのL蛋白翻訳領域にリンホトキシン遺伝子を組み込んだリコンビナント・ウイルスを作製し、培養細胞におけるリンホトキシン遺伝子の発現を検討した。ウエスタンブロット法およびenzyme-linked immunosorbent assayにより、リコンビナントウイルス感染BHK-21細胞においてリンホトキシンの発現が確認された。さらに、L-929細胞に対して明らかな細胞毒性が認められ、発現したリンホトキシンが生物活性を有することが示された(Microbiol.Immunol.43:83-86,1999)。これらのことからTMEVがウイルスベクターとして使用可能であり、単に神経難病の治療のみならず、神経難病の病態解析にも有用であることが示唆された。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Obuchi M et al: "Expression of lymphotoxin gene inserted into Theiler's murine encephalomyelitisi virus"Microbiol.Immunol.. 43. 83-86 (1999)
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[Publications] Obuchi M et al: "Theiler's murine encephalomyelitis virus(TMEV) subgroup strain-specific infection in neural and non-neural cell lines"Microbiol.Immunol.. 43. 885-892 (1999)
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[Publications] Ohara Y: "Multiple sclerosis and measls virus"Jap.J.Infec.Dis. 52. 198-200 (1999)
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[Publications] Obuchi M,Ohara Y: "Theiler's murine encephalomyelitis virus(TMEV):the role of a small out-of-frame protein in virus persistence and demyelination"Jap.J.Infec.Dis. 52. 228-233 (1999)
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[Publications] 大原義朗: "Theilerウイルスー持続感染と脱髄の発症機序に関する一考察ー"ウイルス. 49. 175-181 (1999)
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[Publications] 大原義朗: "ウイルス持続感染のメカニズム"医学のあゆみ. 189. 935-938 (1999)
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[Publications] 大原義朗(分担): "免疫学からみた神経系と神経疾患"日本医学館. 374 (1999)