1998 Fiscal Year Annual Research Report
ハンセン病患者の老年痴呆発症頻度を制御する因子の解析
Project/Area Number |
09670683
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
遠藤 真澄 国立感染症研究所, ハンセン病研究センター・生体防御部, 主任研究官 (20260325)
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Keywords | ハンセン病 / 老年痴呆 / アポリポプロテインE / β-アミロイド蛋白 / Neurotoxicity |
Research Abstract |
高齢ハンセン病患者において痴呆発症頻度が低いことが示されている。ハンセン病患者の痴呆発症頻度を減少させる因子を明らかにし、その因子によるアルツハイマー病の予防・治療への応用を目的に、ハンセン病患者において痴呆発症を制御する機構の解析を行っている。これまでに、患者が長期にわたり服用しているダプソン等の治療薬は、ハンセン病患者の痴呆発症頻度に何ら影響を与えないことを我々は突き止めた。同時にハンセン病治療薬は、ベータ・アミロイドによる神経細胞毒性を減弱する効果が無いことも、細胞培養系を用いて明らかにした。また、アルツハイマー病発症の危険因子であるアポリポプロテインE_ε4遺伝子の頻度が、痴呆が無いハンセン病患者において高いことを発見した。本年度は、アポリポプロテインE4の危険因子としての作用に影響を与えるとして報告されているapo Eintron 1 enhancer element遺伝子(IE1)、apo E genetranscriptional regulatory region(apoE-491A/T,-219G/T)について、ハンセン病患者における遺伝子多型頻度を解析した。その結果、IE1遺伝子頻度は、ハンセン病患者の痴呆発症の制御に、何ら関わらないことが判明した。一方、apoE-491A/T,-219G/T遺伝子多型は対照群との差を認め、apoEの転写調節領域の多型により生ずる転写活性の個体差がハンセン病患者の痴呆発症の制御に関与している可能性が示唆された。詳細については、原著論文にて発表予定である。
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Research Products
(1 results)