1997 Fiscal Year Annual Research Report
呼気ガス中の一酸化窒素濃度測定法の確立とその臨床応用-心疾患、肺疾患、高血圧症、高脂血症、糖尿病患者における測定-
Project/Area Number |
09670700
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
百村 伸一 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (10190985)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 郁夫 東京大学, 医学部附属病院, 医員
松本 晃裕 東京大学, 医学部附属病院, 医員
青柳 昭彦 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (10251240)
竹中 克 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (20188204)
平田 恭信 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (70167609)
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Keywords | 一酸化窒素 / 呼気ガス / 血中一酸化窒素代謝産物 / 慢性心不全 / 慢性閉寒性肺疾患 / 運動負荷 |
Research Abstract |
今年度は慢性心不全例を中心とした心疾患、さらに肺病変を有する膠原病、慢性閉寒性肺疾患などの呼吸器疾患を対象として、これらの患者と正常者との呼気中の一酸化窒素(NO)排出量、血中一酸化窒素代謝産物(NOX)濃度の差異を検討した。安静時あるいは運動負荷中において、呼気NO濃度測定を、呼気流量などの呼気ガス分析と共に行った。被験者はマウスピースを装着し、chemiluminescence法によるNO濃度測定器(Sievers社製、NOA、米国製)で測定した呼気中のNO濃度と、呼気ガス分析器(ミナト社製、RM-280)より呼気量を測定し、real-time(10 msec毎)にNO排出量を求めた。安静時において、慢性心不全例(n=14)では正常例に比して、呼気NO濃度、排出量は共に約2倍に増加していた。一方呼気NO排出量は運動により正常例においては約3倍に増加したが、慢性心不全例ではこの増加が少なく、NYHA3度の重症例では全く増加しなかった。血中NOX濃度も慢性心不全例では安静時においては高値をとり、運動による増加は少なかった(現在投稿中)。呼吸器疾患(n=23)においては、安静時の呼気NO濃度、NO排出量は共に正常例に比して約2-3倍に増加していた。1回の呼気の初、中、後期のうち、特に初期のNO濃度が高値をとった。慢性心不全例において、安静時の呼気中のNO排出量、血中NOX濃度が正常者に比して高かった機序として、本例では血中のサイトカイン濃度が増加しており、このサイトカインがNO産生を亢進させたと考えられた。一方、慢性心不全例では運動時における心拍出量の増加が少ないので、shear stressが正常者に比べて小さいので、呼気中のNO排出量及び血中NOX濃度の運動による増加が正常者に比して少なかったと考えられた。呼吸器疾患においては、炎症により局所のサイトカインが増加した結果、呼気中NOが高いと考えられた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Matsumoto A, Momomura S, 他: "Inhaled nitric oxide and exercise capacity in congestive heart failure." Lancet. 349・9057. 999-1000 (1997)
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[Publications] Hirata Y, Hayakawa H, 他: "Receptor subtype for vasopressin-induced release of nitric oxide from rat kidney." Hypertension. 29. 58-64 (1997)
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[Publications] Kojima H, Hirata Y, 他: "Development of fluorescent indicator for the bioimaging of nitric oxide." Biol Pharma Bull. 20. 1229-1232 (1997)
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[Publications] Kojima H, Hirata Y, 他: "Development of a fluorescent indicator for nitric oxide based on the fluorescein chromophore." Chem Pharma Bull. 44. 373-375 (1998)
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[Publications] Bremer V, Hirata Y, 他: "Role of nitric oxide in rat nephrotoxic nephritis : Comparison between inducible and constitutive nitric oxide synthase." J Am Soc Nephrol. 8. 1712-1721 (1997)
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[Publications] Ikenouchi H, Hirata Y, 他: "Negative inotropic effect of adrenomedullin in isolated adult rabbit cardiac ventricular myocytes." Circulation. 95. 2318-2314 (1997)