1997 Fiscal Year Annual Research Report
ミオシンの分子構造改変により心筋の力発生能力とエネルギー効果を改善するための研究
Project/Area Number |
09670702
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
杉浦 清了 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (10272551)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青柳 昭彦 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (10251240)
百村 伸一 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (10190985)
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Keywords | ミオシン / 分子生物学 / インビトロ アッセイ / 光ピンセット |
Research Abstract |
我々は分子の構造改変により最適なエネルギー特性を持った心筋ミオシンを作成することを目標としており、このための分子生物学実験、ならびに測定系の改良を行っている。機能測定の分野ではin vitro motility assayに光ピンセットを組み合わせた実験系の改良を進めた。 feedback enhancedtrapによりisometricに近い条件で1分子のミオシンとアクチンフィラメントの間に生ずる力を測定することが可能になった。これを用いて心筋ミオシンに存在する異なるATPase活性を持った2つのアイソフォーム(V1,V3)のforce transientを記録しその持続時間に差があることを認めた(論文投稿中)。心筋ミオシンの構造と機能の関係についてはヒト家族性肥大型心筋症をモデルに細胞性粘菌ミオシン発現系を用いて点突然変異を作成し多面的な機能を評価した。作成した変異はATP結合部位、アクチン結合部位、反応性SH基近傍、そして軽鎖結合部位近傍である。この結果溶液中のATPase活性、in vitroでの無負荷滑り速度、および力発生の間に解離の見られることを見出した。特に注目されたのは従来考えられてきた機能部位とは離れた位置にある軽鎖結合部位近傍の変異であり、ATPase活性が比較的保たれているにも関わらず力発生能力に大きな低下が認められた。従ってこの部位がミオシンのエネルギー変換過程において重要な役割を果たしていると考えられた(Fujita et al.)。また臨床例での生命予後と変異ミオシンの力発生能力に相関があること合わせミオシンの機能の重要性が認識された。同様にSH2基の改変でも力発生に大きな影響が見られ(Suzuki et al)今後の研究に示唆を与える結果であった。
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[Publications] Fujita,H.: "Characterization of mutant myosins of Dictiostelium Discoideum equivalent to human familial hypertrophic cardiomyopathy mutants." J.Clin.In vest.99. 1010-1015 (1997)
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[Publications] Aoyagi,T.: "Inhibition of carnitine synthesis protects against left ventricular dysfunction in rats with myocardial ischemia." J.Cardiovascular Pharmacology. 30. 468-474 (1997)
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[Publications] Sugiura,S.: "Direct characterization of single molecular kinetics of cardiac myosin in vitro." Heart Vessels. 12. 128-130 (1997)
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[Publications] Suzuki Y.: "Modulation of actin filament sliding by mutations of the SH2 cysteine in Dictyostelium Myosin II." Biochem.Biophys.Res.Commun.234. 701-706 (1997)