1998 Fiscal Year Annual Research Report
慢性心不全における交感神経性循環制御に対する中枢神経系の役割
Project/Area Number |
09670706
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
麻野井 英次 富山医科薬科大学, 附属病院, 講師 (00150128)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高嶋 修太郎 富山医科薬科大学, 医学部, 助手 (50146586)
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Keywords | 慢性心不全 / 筋交感神経活動 / 呼吸制御 / 周波数伝達関数 |
Research Abstract |
中枢神経系の交感神経活動は呼吸中枢と連動して吸気時に亢進するが、同時に肺の伸展を介して反射性に抑制される。慢性心不全における交感神経活動の亢進が、かかる呼吸性交感神経制御の異常と関連するか、さらにこの交感神経活動の亢進を、呼吸様式を変えることにより抑制できるかを検討した。方法:1)左室駆出分画45%以下の慢性心不全患者18例を対象とし、呼吸周期に一致した筋交感神経活動(MSNA)の消失がある症例をsympathetic neural silence:SNS(+)例とした。また呼吸に修飾されないMSNAを、15秒以上の呼吸停止時のburst頻度で評価した。2)呼吸をランダムビーフ音に合わせて8分間変動させたときの、呼吸流速とMSNAから、両者の関連性が強い周波数帯域について、呼吸からMSNAへの伝達関数を求めた。結果:1)SNS(+)群10例とSNS(-)群8例の呼吸停止時のburst頻度には差がなかったが、SNS(-)群では血漿ノルエヒネフリン濃度が有意に高く(192vs.335pg/ml,p<0.05)、心拡大が著しく、安静臥位での1回換気量が低値を示した。2)通常の呼吸周期(0,25Hz付近)では、MSNAは呼吸と同期しており吸気終末期でMSNAは最大値をとった。これに対し、呼吸周期が遅くなるにほど呼吸とMSNAの位相差は漸増し、0.1Hz付近では平均100度となり、MSNAは肺の伸展に伴って減少した。さらに呼吸に対するMSNAの利得は低周波ほど減少した。総括:今回の成績から、重症心不全では心拡大と一回換気量の減少により肺の伸展が制限され、これが交感神経活動の亢進に寄与している可能性が示唆される。また呼吸周期が遅くなるほど肺の伸展によるMSNAの抑制効果が増大したことから、心不全患者では深く遅い呼吸のトレーニングが交感神経活動を抑制する可能性がある。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Ishise H,Asanoi H,et al: "Time course of sympathovagal balance and left ventricular dysfunction in conscious dogs with heart failure." J Appl Physiol. 84. 1234-1241 (1998)
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[Publications] Nozawa T,Igawa A,et al: "Dual-tracer aassessment of coupling between cardiac sympathetic neuronal function and downregulation of beta-receptors during development of hypertensive heart failure of rats." Circulation. 97. 2359-2367 (1998)
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[Publications] Goso Y,Asanoi H,et al: "Relationship Between Low-frequency Cardiovascular Variability and Muscle Sympathetic Nerve Activity in Patients with Cardiac Dysfunction." J Cardiovasc Pharm. in press. (1999)
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[Publications] 麻野井英次: "心不全における自律神経機能-評価法と臨床的意義" Medical Practice. 15. 1703-1706 (1998)
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[Publications] 麻野井英次: "心不全と自律神経機能異常" 自律神経. 35. 343-349 (1998)
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[Publications] 麻野井英次: "私のストラテジー:心不全治療の選択と新知見の影響" 心臓病NEWS & NEWS. 8. 20-21 (1998)
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[Publications] 麻野井英次: "吉川純一,松崎益徳(編),心臓病心療プラクティス:心不全を癒" 文光堂 東京, 358 (1998)
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[Publications] 麻野井英次: "北畠顕,小川聡,永井良三,堀正二(編) 循環機能検査ハンドブック" 中山書店 東京, 707 (1998)