1999 Fiscal Year Annual Research Report
慢性心不全における交感神経性循環制御に対する中枢神経系の役割
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09670706
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Research Institution | TOYAMA MEDICAL AND PHARMACEUTICAL UNIVERSITY |
Principal Investigator |
麻野井 英次 富山医科薬科大学, 附属病院, 講師 (00150128)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高嶋 修太郎 富山医科薬科大学, 医学部, 助手 (50146586)
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Keywords | 慢性心不全 / 交感神経活動 / 睡眠リズム / 睡眠時無呼吸 / 中枢性α_2受容体刺激薬 |
Research Abstract |
本研究の目的は、慢性心不全の憎悪の主要因である交感神経活動の中枢性亢進機序の解明とその治療にある。平成11年度は、慢性心不全における中枢神経系と交感神経活動との関連性を明らかにするため、(I)睡眠深度と呼吸様式および交感神経活動の関係、(II)中枢性交感神経遮断による、換気様式と交感神経活動の修飾、を検討した。(I)慢性心不全患者において、睡眠脳波、心電図、呼吸曲線、動脈血酸素飽和度を7時間コンピュータに収集した。睡眠深度をFFTにより抽出した脳波の高振幅徐波成分(delta波:0.5-2.5Hz)で評価し、呼吸周期、心拍変動、動脈血脱酸素化、および交感神経活動と対比した。睡眠中の高周波心拍変動にはdelta波に同調したultradianリズム(0.00016Hz)が存在した。しかし睡眠時中枢性無呼吸が出現した約半数の心不全患者では、睡眠と心拍変動の同調性が消失していた。また無呼吸による低酸素血症の程度は、翌朝の交感神経活動と良好な正相関を示した。以上の成績から、睡眠時無呼吸は睡眠リズムと自律神経リズムとの同調性を障害し、低酸素血症を介して心不全の交感神経活動の亢進に関与している可能性がある。(II)睡眠時無呼吸を有する患者は、覚醒時や運津時にも換気様式の異状を呈しやすい。そこで心不全患者を過換気群と正常換気群に分け、中枢性α2受容体刺激薬:guanfacine(Gunf:0.125mg-0.25mg/日)に対する運動時換気応答を検討した。Gunf投与により筋交感神経活動のバースト頻度は有意に減少し、その効果は過換気群で顕著であった。運動時換気応答は、Gunf投与後正常換気群では不変だったが、過換気群では有意に改善した。かかる成績は、心不全における運動時過換気が、中枢性の交感神経活動の亢進と密接に関連することを示唆する。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Joho S., Asanoi H., et al.: "Time varying spectral analysis of heart rate and left ventricular pressure variability during coronary occlusion in human: A sympathoexcitatory response to myocardial ischemia"J Am Coll Cardiol. 34. 1924-1931 (1999)
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[Publications] Remah HA., Asanoi H., et al.: "Modulation of left ventricular diastolic distensibility by collateral recruitment during balloon coronary occlusion"J Am Coll Cardiol. 34. 500-506 (1999)
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[Publications] Goso Y., Asanoi H., et al.: "Relationship between low-frequency cardiovascular variability and muscle sympathetic nerve activity in patients with cardiac dysfunction"J Cardiovasc Pharmacol. 34. S63-S67 (1999)
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[Publications] 麻野井英次: "心不全と自律神経機能"Cardiologist. 4. 887-895 (1999)
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[Publications] 麻野井英次: "慢性心不全に対するβ遮断薬"呼吸と循環. 47. 975-979 (1999)
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[Publications] 麻野井英次: "心疾患における運動と自律神経"Therapeutic Research. 20. 1733-1738 (1999)
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[Publications] 麻野井英次: "心臓病診療プラクティス20 心臓病診療の問題点を考える:現代から未来へ"文光堂(東京). 316 (1999)
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[Publications] 麻野井英次: "Today's therapy 2000 今日の治療指針"医学書院. 1580 (2000)