1997 Fiscal Year Annual Research Report
虚血刺激によるATP感受性Kチャネル構成蛋白の発現調節に関する基礎的研究
Project/Area Number |
09670713
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
村上 知行 京都大学, 医学研究科, 講師 (00190885)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀江 稔 京都大学, 医学研究科, 助手 (90183938)
|
Keywords | KATP channel / myocardial ischema / gene expression |
Research Abstract |
【目的】心筋ATP感受性Kチャネルは内向き整流性Kチャネル(Kir6.1,Kir6.2)とsulfonylurea receptor(SUR2)から構成される複合体であると考えられている。このチャネルは心筋虚血に際して開口し、心筋保護作用を有することが知られている。本研究ではラット心筋虚血再灌流モデルを用いてKir6.1,Kir6.2,SUR2の転写発現を検討した。【方法】ラットの左冠動脈を結紮して虚血を作成した後に再潅流を行った。血行動態を記録した後に、心臓を虚血、非虚血域に分け、Kir6.1,Kir6.2,SUR2の発現経過をノザンブロット法にて検討した。また、膜蛋白分画を調整しウェスタンブロット法にてKir6.1蛋白の変化を検討した。【結果】60分虚血24-27時間再潅流群では、sham群に比して、虚血、非虚血域の両方においてKir6.1mRNAのみが特異的に増加しており(虚血域2.7-3.1倍、非虚血域2.0-2.6倍)、24時間連続虚血群でもKir6.1が同様に増加したが、60分虚血3-6時間の短時間再潅流群や3-6時間連続虚血群ではその増加が見られなかった。15-30分の短時間虚血24時間再潅流後でも増加が見られなかった。一方、Kir6.2,SUR2mRNAはいずれの群においても有意の変化が見られなかった。60分虚血24時間再潅流群ではKir6.1蛋白レベルはsham群より増加していた(虚血域2.4倍,非虚血域2.2倍)。60分虚血を施したラットは再潅流直後から血圧の低下、LVEDPの上昇を認めた。【総括】60分以上の心筋虚血により、心筋KATPチャネル構成遺伝子は異なる転写調節を受け、この変化は非虚血域にも見られることが明らかとなった。この転写調整には虚血刺激そのものより持続的な血行動態の変化、あるいはこれに基づく心筋組織の体液因子が関与する可能性が示唆された。
|
Research Products
(1 results)