1997 Fiscal Year Annual Research Report
CCAAT結合タンパクを介した血小板由来成長因子β-受容体遺伝子発現調節の検討
Project/Area Number |
09670723
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
北見 裕 愛媛大学, 医学部・附属病院, 助手 (10234270)
|
Keywords | 血管平滑筋細胞 / 細胞増殖 / 血小板由来成長因子受容体 / 5^1-上流域 / 転写制御因子 / CCAAT結合タンパク / NF-Y / プロモーター活性 |
Research Abstract |
血小板由来成長因子(PDGF)は血管平滑筋細胞(VSMC)の強力な細胞増殖因子の1つであるが、PDGFの生理作用はその特異的な受容体を介して発現される。そこで、VSMCに発現し、動脈硬化巣や糖尿病性血管病変などで過剰に発現されるPDGF β-受容体の発現調節機構を遺伝子レベルで解析するために、ラット・ゲノムライブラリーより約12-kbのPDGF β-受容体遺伝子(PDGFβR)を単離し、約1.7-kbの5^1-上流域を含む断片について解析した。塩基配列を決定し、プライマー伸長法ならびにリボプロープ・マッピングによって、転写開始点を決定した結果、転写開始点は複数であり、その近傍にはTATAボックスやGCボックスを認めず、その代わりにCCAATボックス(-67〜-61)を認めた。その他に特徴的なシス・エレメントとしてAP-1,C/EBP,MRE,NFκBを認めた。次にルシフェラーゼ・アッセイを用い、VSMCにおける各種変異遺伝子のプロモーター活性を比較した結果、PDGFβRの基本的転写活性には、-67〜-61に存在するCCAATボックス(以下、C67)と、その上流に存在する-150〜-121(以下、R30)が必須な領域であることが示された。また、それぞれの領域に結合する因子をゲルシフトならびにスーパーシフト法で解析した結果、C6ηにはNF-Y(なかでもNFY-B)が結合し、また、R30にも特異的に結合する因子を同定した。これらのことから、VSMCにおけるPDGFβR遺伝子の基本的な転写活性は5^1-上流域に存在する2つの領域、C67とR30によって制御され、しかもそれぞれの領域に特異的に結合する転写因子の相互作用によって活性化されるものと考えられた。今後は、R30に結合する転写因子を明らかにするとともに、PDGFβRの基本的転写活性に必須のこれらの因子を制御することで病変部に過剰発現されるPDGFβR発現を抑制する方法を開発して行く予定である。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] 福岡富和, 北見裕, 大蔵隆文, 間口元文, 伊賀瀬道也, 小原克彦, 日和田邦男: "血管平滑筋細胞における核内転写制御因子C/EBPδ遺伝子の発現調節" 血圧. 4・3. 265-271 (1997)
-
[Publications] Fukuoka T, Kitami Y, Kohara K, Hiwada K: "Molecular structure and function of rat CCAAT-enhancer binding protein-delta gene promoter." Biochem Biophys Res Commun. 231/1. 30-36 (1997)
-
[Publications] Kitami Y, Fukuoka T, Okura T, Takata Y, Maguchi M, Igase M, Kohara K, Hiwada K: "Molecular structure and function of rat platelet-derived growth factor β-receptor gene promoter." J Hypertens. 16(in press). (1998)