1997 Fiscal Year Annual Research Report
血管平滑筋細胞に存在する伸展感受性チャンネルの生理特性とその液性因子による調節:機械的刺激と細胞機能を結ぶ情報変換システム
Project/Area Number |
09670725
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大屋 祐輔 九州大学, 医学部, 助手 (30240964)
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Keywords | 血管平滑筋 / イオンチャンネル / 高血圧 |
Research Abstract |
高血圧に見られる血管の機能や構造の変化に、神経・液性因子に加え、血管への機械的刺激が重要な役割を有すると考えられる。我々は、血管平滑筋の細胞膜に機械的刺激により開口する伸展刺激感受性(SA)チャンネルが存在することを報告した。今回、高血圧自然発症ラット(SHR)とその正常血圧コントロールであるWKYの血管を用い、高血圧における伸展感受性チャンネルの変化を検討した。SHRとWKY(16から24週齢、それぞれ14匹)の腸間膜抵抗動脈より酵素処理で単一平滑筋細胞を作成し、パッチクランプ法によりSAチャンネル電流を記録した。全細胞記録では電極から細胞内へ陽圧を加え細胞を腫大させることで、また、単一チャンネル記録では電極に陰圧を加え膜を電極内へ引き込むことで、膜への伸展刺激を加えた。全細胞記録では、細胞腫大に応じてSA電流が出現した。この電流は非選択的陽イオン電流であり、SAチャンネル阻害薬のガドリニウムにより抑制された。SHRではWKYに比較して、SA電流はより少ない細胞腫大で誘発され、電流量も多かった。単一チャンネル記録では陰圧に応じてチャンネルの開口(単一チャンネル電流)が観察された。この電流(コンダクタンスは32pS)は陽イオン非選択性であり、ガドリニウムにより抑制された。SHRではWKYに比較し、より小さな陰圧でチャンネル開口が誘発され、それぞれの陰圧に対する開口確率が大きかった。SHRの動脈平滑筋ではSAチャンネルの活性が亢進していた。SHRの血管で報告されている伸展刺激に対する機械的電気的活動の亢進に、このようなSAチャンネルの開口亢進が寄与しうると考えられた。
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