1998 Fiscal Year Annual Research Report
慢性心筋虚血による冬眠心筋における経時的不可逆性心筋傷害の進行に関する実験
Project/Area Number |
09670733
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
矢尾板 裕幸 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (50264544)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前原 和平 福島県立医科大学, 医学部, 助教授 (90181817)
丸山 幸夫 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (90004712)
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Keywords | 心筋虚血 / リモデリング / 心不全 |
Research Abstract |
【目的】梗塞心ではなくて、慢性の持続する心筋虚血、いわゆる冬眠心筋における経時的不可逆的心筋傷害の推移及び心室リモデリングの進行に関して治療学的に考察する。【方法】ラットの冠狭窄心モデルを作成し、薬物療法の効果と機序を冠狭窄後12週目に評価した。【結果】このモデルでは、冠血流量(MBF)は正常対照心に対して約40%に低下し、冠予備能(CFR)も低下、左室拡張末期容積(EDV)は約190%に、収縮末期容積(ESV)は380%に増加し、駆出率(EF)は80%に低下、左室圧・容積関係(PVR)では機能低下を示し、ミトコンドリア酸素消費は約300%に増加し、冠血管内皮由来ー酸化窒素(NO)放出能は低下していた。心筋線維化率は18%に増加していた。ACE阻害薬のキナプリルを連日投与したラットではEDV及びESVは低下、EFは増加、PVRを改善、酸素消費を低下させた。その機序としてNO放出能の改善及びMBF,CFRの増加による線維化率の低下が関与すると考えられた。β遮断薬のカルベジロールでも同様の結果が得られた。【総括】心筋梗塞によらない虚血性心不全においては、キナプリル及びカルベジロールは冠循環異常の改善により心筋傷害及び代謝異常の軽減及びリモデリングの抑制作用を有することが判明した。
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