1997 Fiscal Year Annual Research Report
腎糸球体輸入・輸出細動脈におけるアンジオテンシン受容体の役割に関する研究
Project/Area Number |
09670736
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
塩谷 雅彦 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (90275355)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬場 章 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (00228678)
羽野 卓三 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教授 (90156381)
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Keywords | アンジオテンシンII / アンジオテンシン受容体 / 輸入細動脈 / 血管内皮 / NO |
Research Abstract |
アンジオテンシンIIのレセプターサブタイプAT1の微小血管に及ぼす直接作用を検討し、腎内各血管での作用特異性と臓器特異性を検討する。(2)アンジオテンシン代謝産物、アンジオテンシン3-8の生理的な作用機序を明らかにする。(3)内皮由来一酸化窒素(NO)との相互作用を明らかにした。【方法】New Zealand White Rabbitの左腎を麻酔下に摘出。実体顕微鏡下に腎皮質より単一の輸入細動脈(Af-Art)を糸球体が付着した状態で単離した。輸入細動脈をMEMにて60mmHgで定圧潅流し、以下の実験を行った。(1)10^<-9>〜10^<-5>MのAng(3-8)を潅流槽に加えAf-Artにおける用量反応曲線をみた。(2)Af-ArtのAng(3-8)に対する拡張反応をみるため、5x10^<-7> Mnorepinephrine(NE)による前収縮後、(1)と同様の実験を行った。(3)Ang(3-8)の拡張作用にNOが関与するか否かをみるため、前収縮を行ったAf-Artの血管内腔側に10^<-4>MN^W-nitro-L-arginine methyl ester(L-NAME)を前処置し,10^<-9>M〜10^<-5>M Ang(3-8)による拡張反応を観察した【結果】(1)Af-ArtはAng(3-8)により高濃度で有意な収縮反応を示した[16.5±0.99μm(control),10.2±1.23μm(10^<-5>M)平均±SEM,]この収縮はAT1レセプターの選択的阻害薬であるCV11974の前処置で完全に抑制された。(2)NEによる前収縮後,Ang(3-8)はAf-Artを拡張した[12.9±0.47μm(control),14.5±0.81μm(10^<-7>M),15.2±0.59μm(10^<-6>M)](3) (2)で認められた拡張反応は10^<-4>ML-NAMEの前処置で消失した。[12.4±1.10μm(control),11.1±0.98μm(10^<-6>M)]腎輸入細動脈におけるアンジオテンシンIIの血管収縮は主にAT1サブタイプを介していると考えられる。また、高濃度のアンジオテンシン3-8は収縮反応を来し、低濃度では拡張反応を示した。この拡張反応には内皮由来のNOが関与していると考えられる。
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