1998 Fiscal Year Annual Research Report
ヒートショック蛋白遺伝子導入による加齢心筋の虚血耐性低下・低温保存の改善の試み
Project/Area Number |
09670752
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
谷 正人 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (50163613)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山村 憲 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (70276260)
長谷川 浩 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00237984)
本間 由佳子 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00296584)
高山 美智代 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (60265824)
海老原 良典 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (30194020)
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Keywords | myocardial ischemia / heat shock protein / aging / ischemic tolerance / cold preservation / Casdiopelegia |
Research Abstract |
1) 遺伝子導入効率の良いcationic HVJ-liposomeの開発:3月齢および一年齢のラット心(各月齢n=3)をコラゲナーゼを含む灌流液で潅流し心筋細胞を単離した。37℃で95%O_2/5%CO_2で酸素化した潅流液に新たに作成したcationic HVJ-liposomeをvectorとして混じHeat Shock Protein遺伝子の導入を試みた。3月齢、一年齢のラット(各30匹)の心嫡出し心重量を測定、速やかに37℃でLangendorff手技で酸素化潅流を行い、左室圧、心表面心電図記録下に、潅流液中に同様にcationic HVJ-liposomeをvectorとして混じHeat Shock Protein遺伝子を導入Northernおよびwestern Blotting法により最も発現効率のよい潅流条件を決定したが遺伝子発現効率は、通常のHVJ-liposomeをvectorとした場合とほぼ同様で、約30%程度に留まった 2) 摘出灌流心による虚血・再灌流実験:3月齢および1年齢のラットにおいてHeat Shock Protein遺伝子導入ラットと非導入ラット(各n=6)を作成し37℃で潅流した。心機能・心表面心電図監視下に20分間の酸素化虚血前潅流、25分間の完全虐血と20分間の再潅流を行った。心機能の回復と心筋エネルギー代謝産物、再潅流不整脈の頻度・持続時間、再潅流中のCPKおよびLDHの流出量を測定した。Heat Shock Protein非導入ラットに比し同遺伝子導入ラットで、僅かながら心機能と心筋エネルギー代謝産物の回復に改善傾向を認め、再潅流時のCPKおよびLDHの流出も減少傾向をみたたがnが小さいこともあって、有意差を認めなかった。再潅流不整脈の頻度・持続時間には、Heat Shock Protein遺伝子導入群と非導入群に差を認めなかった 3) 単離心筋細胞を用いた低酸素負荷・再酸素化実験:3月齢および1年齢のラット心(各月齢ともHeat Shock Protein遺伝子導入済みn=3、未導入n=3)をコラゲナービを含む潅流液で潅流し心筋細胞を単離し、37℃で95%O_2/5%CO_2で酸素化した潅流液に[Ca^<2+>]i測定用蛍光発生剤Fluo-3をloadingし細胞内[Ca^<2+>]した。30分間95%N2/5%CO2で低酸素化した潅流液に切り替えsuperfusionを行った後再び95%O_2/5%CO_2で酸素化した潅流液に切り替え20分間superfusionし、イオン測定用蛍光分析装置を用い細胞内[Ca^<2+>]の低酸素負荷・再酸素化に伴う変化を経時的に観察した Nが各群3と少ないため充分な統計学的検討ができなかったが、遺伝子導入群で非導入群に比し再潅流時の細胞内[Ca^<2+>]の上昇が軽度となる傾向が認められた以上より1)ヒトの中高年者に相当し虚血耐性の既に低下している動物モデルにおいて、遺伝子導入技術を応用し、心筋細胞にHeat Shock Protein遺伝子導入を行い得ることが確認されたが安定的且つ効率的な手法を確立することはまだ充分には行い得なかった。2)本法を用い細胞レベルのみならず臓器・組織レベルでHeat Shock Protein遺伝子の導入を試みた しかしこれが若年成熟動物と同様に老化心の虚血耐性を増大させうるか否か、および心のcold preservation時における心筋保護をもたらし得るか否かは更に検討を要すると考えられた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] M.Tani: "Hypoxic pveconditioning fails to protect ageing myocardium of Fischer344 Nats:posscble inportance of intracellular Na^+ imbalance" Cardiovascular Research. 41(3). 594-602 (1999)
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[Publications] 新村 健: "In vivo遺伝子導入法による心筋梗塞後左室リモデリングにおけるアンギオテンシン2型受容体(AT_2)の役割の解明" Jpn.Circulation J.62(S-1). 515 (1998)
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[Publications] 谷 正人: "低酸素化虚血前灌流による心筋条件付け(HP):加令に伴うその効果の消失と心筋glycogenおよび[Na^+]i" Jpn.Circulation J.62(S-1). 241 (1998)
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[Publications] 新村 健: "培養成熟ラット心筋細胞へのHVJ-リポゾーム法を用いた遺伝子導入" Jpn.Circulation J.62(S-1). 367 (1998)
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[Publications] 高山 美智代: "Phorbol esterによる心筋protein kinase C(PKC)translocationに及ぼす加令の影響" Jpn.Circulation J.62(S-1). 366 (1998)
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[Publications] M.Tani: "The Ischemic Heart" Kluwer Academic Publishers, 575 (1998)