1998 Fiscal Year Annual Research Report
頸脳動脈系シミュレーションモデルによる脳動脈硬化定量計測法の確立
Project/Area Number |
09670757
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Research Institution | TOHO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
藤代 健太郎 東邦大学, 医学部, 助教授 (90147348)
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Keywords | 脳動脈硬化 / 総頸動脈 / 中大脳動脈 / 超音波 / 血流量 / 血流速度 / 波形 / シミュレーション |
Research Abstract |
目的:加齢、血管障害例の頸動脈血流波形の変化と、末梢血管系の血管障害度を比較し、コンピュータソフトで作成した頸・脳動脈系のシミュレーションモデルの各パラメータが、頸・脳動脈系の硬化性変化の定量指標なりうるか検討した。 方法:頸・脳動脈系を簡略化した電気回路モデルを作成した。電気回路モデルはwindkessel modelを変形したもので、頸動脈部は循環抵抗(Rco、Lc)、循環容量(Cc)で、脳動脈部は脳血管系基部抵抗(Rt)、末梢抵抗(Rp)、末梢容量(Cp)で構成されている。波形シミュレーションは頸動脈部に電圧の代りに血圧波形を入力し、Rt、Rp、Cpを変化させて頸動脈部、中大脳動脈部に相当する部分の電流を計測し、それぞれの血流波形と比較して行った。超音波定量的血流量測定装置(QFM)を用い、総頸動脈血流量波形および血圧波形に近似する血管壁拍動波形を計測した。中大脳動脈血流速度波形は経頭蓋骨的血流速度測定装置(TC2-64)を用い計測した。 結果:1. 波形変化と血管モデルのパラメータを比較した結果、収縮期第一峰の立ち上がり最大変化率<R>はRtとRpの比率で、第一峰から第二峰までの最大変化率<S>と収縮期第一峰と第二峰の高さの比<A/B>はCpによって変化することが明らかとなった。 2. 頸・脳動脈系の硬化度を病理所見より得た症例について、総頸動脈血流量波形を検討した結果、内頸動脈遠位部および中大脳動脈の軽度硬化性変化は、波形の<S>または<√(RxS)>に関係することが判明した。このことから頸・脳動脈系の末梢血管系の変化は、シミュレーションモデルの脳血管部分を表すRt、Rp、Cpの変化と関係することが明らかとなり、血管モデルの妥当性が確認できた。 結語:脳動脈の動脈硬化による波形変化と血管モデルの各パラメータの関連が明らかになった。
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