1997 Fiscal Year Annual Research Report
心筋炎の心筋内ウイルス核酸の発現とアポトーシスに関する分子病理学的研究
Project/Area Number |
09670768
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
浮村 聡 大阪医科大学, 医学部, 助手 (50257862)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
出口 寛文 大阪医科大学, 医学部, 講師 (90131341)
北浦 泰 大阪医科大学, 医学部, 助教授 (50084950)
河村 慧四郎 大阪医科大学, 医学部, 教授 (00026832)
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Keywords | 心筋炎 / アポトーシス / ウイルス |
Research Abstract |
心筋炎におけるアポトーシスの存在についての検討を行い、以下の結果を得た。 1.コクサッキーウイルスB3を接種したアウス心筋において、ラダーリングを認め、また電顕的TUNEL法陽性の心筋細胞が存在し、同細胞の核のクロマチンが偏在することを示し、日本循環器学会学術集会で発表した。 2.ウイルスがアポトーシスの誘導、あるいは抑制を行うことが知られているが、心筋炎におけるコクサッキーウイルスB3の核酸の細胞内局在やウイルス複製の機構は不明である。そこで電顕的in situ hybridization(ISH)法およびRT-PCR法を用い、コクサッキーB3ウイルス(CVB3)感染培養細胞とマウスの実験的CVB3性心筋炎の心筋におけるウイルスの局在を同定し、心筋炎急性期におけるウイルスの動態の解明を行った。RT-PCR法では、CVB3接種第14日において、心筋からウイルスがもはや分離されない時期でも心筋内でCVB3が複製されているとの所見を得た。また電顕的ISH法で、CVB3RNAは見かけ上正常あるいは障害された心筋細胞内で筋原線維間の胞体、ミトコンドリア周囲、粗面小胞体近傍また小空胞ないし細管腔構造内に検出され、さらに間質では細胞壊死物質のほかマクロファージや線維芽細胞の胞体にも同定された。これらの所見より、ウイルスは心筋細胞の粗面小胞体周囲などで複製され、筋小胞体様の小空胞ないし細管腔を介して転送され、あるいはさらに細胞壊死により間質に放出され、マクロファージに貪食、処理されると考えた。またリンパ球が心筋細胞の形質膜と接着する部位の近傍で心筋細胞内にCVB3RNAの局在を検出しておりウイルス性心筋炎の細胞性免疫機序に関与する所見と考えた。以上の結果についてAmerican Journal of Pathologyに発表した。
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[Publications] 浮村 聡: "Intracellular viral localization in murine coxsackievirus-B3 myocarditis" American Journal of Pathology. 150. 2061-2074 (1997)
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[Publications] 北浦 泰: "急性心筋炎と慢性心筋炎" 臨床科学. 33. 779-787 (1997)
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[Publications] 出口 寛文: "ウイルス性心筋炎における免疫" Medical Practice. 8. 329-334 (1997)
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[Publications] 北浦 泰: "インフルエンザ心筋炎、心膜炎の臨床と病理" 日本臨床. 55. 2706-2713 (1997)