1997 Fiscal Year Annual Research Report
交感神経活性が心内膜側血流に利する機序-冠slosh現象と心筋内冠動脈径変化-
Project/Area Number |
09670770
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
矢田 豊隆 川崎医科大学, 医学部, 講師 (00210279)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 一郎 川崎医科大学, 医学部, 講師 (30200413)
田淵 篤 川崎医科大学, 医学部, 講師 (60236726)
仲本 博 川崎医科大学, 医学部, 助手 (10299183)
小笠原 康夫 川崎医科大学, 医学部, 助教授 (10152365)
梶谷 文彦 川崎医科大学, 医学部, 教授 (70029114)
|
Keywords | 交感神経α受容体 / 冠動脈slosh現象 / 心内膜側冠細動脈 / ペーシング負荷 / 血管拍動性 / 冠血管トーヌス |
Research Abstract |
[目的]交感神経α受容体活性の亢進が冠血管トーヌスを上昇させ、冠動脈slosh現象の抑止効果を介して心内膜側の虚血を改善するという作業仮説に対して、ニードルプローブ型生体顕微鏡を用いて直接的に心内膜側細動脈の拍動性血管径変化を観察することにより直接検証することである。[方法]麻酔開胸下、雑種成犬を用いて、交感神経α受容体活性亢進における拍動性心筋内冠動脈血流および左室心内膜側細動脈径変化を評価するために、ノルエピネフリン(NE、0.25μg/kg/min)の持続静注状態で交感神経α受容体遮断(phenoxybenzamine:0.5mg/kg)し、その前後で冠血流動態の評価を行った。[結果]心拍数140bpm時、NE投与後の心筋内血流である第一中隔枝の血流パターンはα受容体遮断前から収縮期逆流が認めた。この逆流はα受容体遮断後、著明に増大した。一方、拡張期順流には、α受容体遮断前後で著変は認められなかった。灌流領域(左回旋枝)の血流量はα受容体遮断後、有意に増大した。α受容体遮断後、心拍数140bpm時のNE投与下の心内膜側血流は増大し、心拍数200bpm時には、この効果は消失し、心拍数250bpm時には、逆に心内膜側血流は減少した。いずれの心拍数においても、α受容体遮断により収縮期逆流の有意な増大が認められ、拡張期順流に対する収縮期逆流の割合、slosh率も有意に増大した。心筋内細動脈の拍動性、(拡張末期から収縮末期にかけての径変化)は心内・外膜側ともにα受容体遮断後、増大した(心外膜側前:4%,後:7%心内膜側前:7%,後:12%)。[結語]α交感神経刺激は冠動脈Slosh現象に対して抑制効果を示し、特にペーシング負荷に伴う頻拍時には心内膜側心筋血流を維持する効果が示され、心内膜側心筋虚血の改善を示唆するものであった。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Koichi Morita: "α-Adrehergic vasocihstriction reduces systolic retrograde coronary blood flow" American Journal of Physiology. 273. H2746-2755 (1997)
-
[Publications] 梶谷文彦: "冠動脈血流:正常と病態" Heart View. 1(11). 1320-1323 (1997)
-
[Publications] 梶谷文彦: "心筋栄養供給と代謝動態" 第10回バイオエンジニアリング講演会講演論文集. 429-132 (1998)
-
[Publications] 平松 修: "血流と微小血管可視化による交感神経α受容体刺激が心内膜側心筋灌流に利する機序の解析" 医用電子と生体工学. 35. 303 (1997)
-
[Publications] 立花博之: "高速度生体顕微鏡による心内膜側細動脈の血流パターンの計測" 医用電子と生体工学. 35. 147 (1997)
-
[Publications] 梶谷文彦: "心内膜側微小循環-心内膜側易虚血性の理由-" 診療と新薬. 34・6. 583-591 (1997)