1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09670771
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
中田 真詩 久留米大学, 医学部, 講師 (70180304)
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Keywords | 肥大型心筋症 / 心筋トロポニンT / skinned fiber |
Research Abstract |
【研究目的】心筋トロポニンT遺伝子異常肥大型心筋症発症の分子機構を解明する。【研究実施計画】1995年Watkinsらにより発表された肥大型心筋症の原因遺伝子であるトロポニンT遺伝子の遺伝子産物として、変異トロポニンTを作製し、野性型との生理学的な比較検討を行う。【研究実施方法】トロポニンT遺伝子変異はイントロン15のグアニンをアデニンに変換することにより作製した。作製した変異遺伝子を大腸菌にて発現、増殖させ、蛋白を回収した。イオンクロマトグラフィーで精製した変異トロポニンT蛋白をウサギ心筋skinned fiber中に組み入れ、生理学的検討を施行した。対象として正常トロポニンT蛋白を用いた。弛緩時のサルコメアの長さを2.4μmにセットし、張力はひずみゲージを用い測定した。【研究結果】変異トロポニンTを含むskinned fiberでは張力、Ca関係曲線が左に偏位し、正常(野性型)トロポニンTと比較し、有意にCa感受性が亢進していることが確認された。【総括】ウサギ心筋skinned fiberを用いて心筋トロポニンT遺伝子異常肥大型心筋症の発症機序を検討した結果、変異トロポニンTにより心筋細胞収縮におけるCa感受性の亢進が認められた。これまで収縮蛋白異常による心筋症発症機序には収縮能低下による代償性肥大が報告されていたが、新たな仮説としてCa感受性の亢進も肥大型心筋症の発症機序の一つと推測された。
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