1998 Fiscal Year Annual Research Report
肥大型心筋症における主および副原因遺伝子の解明に関する研究
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09670772
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
西 宏文 久留米大学, 医学部, 講師 (60189248)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中田 真詩 久留米大学, 医学部, 講師 (70180304)
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Keywords | 肥大型心筋症 / 心筋βミオシン重鎖遺伝子 / 遺伝 / 心筋トロポニンI遺伝子 / 心筋トロポニンT遺伝子 / Ca感受性 |
Research Abstract |
肥大型心筋症は長い間原因不明の心筋疾患であったが、1990年に最初の原因遺伝子である心筋βミオシン重鎖遺伝子異常が報告されて以来、心筋トロポニンT、αトロポミオシン,心筋型ミオシン結合蛋白C、心筋ミオシン軽鎖分子(2種)の遺伝子異常が本症において相次いで見いだされ、本症の約半数の症例で遺伝子診断が可能となっている。申請者らは、これまでの7種類の原因遺伝子がいずれもサルコメア構成分子の遺伝子であることに注目し、候補遺伝子解析の手法を用いて心筋トロポニンI遺伝子を解析した。これまでに収集した肥大型心筋症多発家系を対象に、ゲノム遺伝子をPCR-SSCP(Polymerase chain reaction single strand conformation polvmorphism)法を用いて遺伝子変異を検出し、連鎖検を用いて疾患との関係を検討した。その結果、心筋トロポニンI遺伝子のエクソン7内の145番目のアミノ酸変異(Arg→Gly)を伴うミスセンス変異が肥大型心筋症の原因であることを見いだした。他に5種類の変異も同定している. 今年度は、さらに肥大型心筋症における遺伝子異常から疾患発症へのメカニズムの解明に向けた研究を行なった。九州大学医学部臨床桑埋学教室と共向で行なったウサギ心筋スキンドファイバーを用いた実験により、変異トロポニンTではCa^<2+>感受性が允進している事を見いだした。即ち、弱酸性、高イオン強度下に過剰のトロポニンTを筋原繊維に作用させると、アクチン繊維状に結合しているトロポニン複合体が交換除去される技術を用いて、ウサギ心筋スキンドファイバーにそれぞれ変異トロポニン(Ile-79およびArg-92)と正常トロボニンTを組込み、ウザギ心筋トロボニンI、Cにて再構成させることにより、心筋収縮調節に対する影響を観察した。その結果、変異トロポニンTを含むトワポニン複合体は正常トロポニンTに比べて心筋スキンドファイバー張力発生のCa^<2+>感受性を亢進させていた。 従来より臨床の場で用いられているCa^<2+>拮抗薬との関連からも、今後予後病態との関連を含めて検討していく予定である。
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[Publications] 西宏文: "HCMの異常肥大のメカニズム" Heart View. 2. 466-470 (1998)
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[Publications] Kai H,Muraishi A,Sugiu Y,Nishi H,Seki Y et al.: "Expression of proto-oncogenes and mutation of sarcomeric proteins in patients with hypertrophic cardiomyopathy" Circulation Research. 83. 594-601 (1998)
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[Publications] 西宏文: "肥大型心筋症突然死家系と遺伝子異常" Heart View. 2. 796-801 (1998)
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[Publications] 西宏文、嶋田博文、古賀章正、中浦宏幸: "心筋症-疾患遺伝子の同定から発生機序の解明" Heart View. 3. 20-25 (1999)
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[Publications] 西宏文: "循環器Now 16分子循環器病学" 矢崎義雄編、南江堂, 258 (1998)