1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09670774
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
立花 克郎 福岡大学, 医学部, 助手 (40271605)
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Keywords | 超音波 / 血管治療 / 超音波カテーテル / 血栓 / 再狭窄 |
Research Abstract |
近年、PTCA後の再狭窄に対する血管治療の研究が盛んになってきた。血栓および再狭窄を起こさないように多くの薬物が開発されつつあるが、血管壁内への薬物が十分に浸透しないため新しい薬物投与カテーテルや方法が検討されている。今回、我々は超音波エネルギーを利用して薬物を血管壁内に有効に浸透させることができたので報告する。 [方法]病理解剖より得た正常大動脈組織の血管内皮側に蛍光色素ローダミン(分子量479)を接触させ、同側より超音波を照射した。超音波強度は0.3,0.5W/cm^2、周波数は0.95MHzであった。超音波照射後、組織切片を直ちに凍結し、共焦点レーザー顕微鏡にて内皮からの薬物深達距離を測定した。コントロール群には超音波照射を行わなかった。また、超音波照射方向を逆にした場合および蛍光色素に接触させる前に超音波照射した前処置組織についても観察した。 [結果]20分以上超音波を照射した群の薬物浸透距離は超音波非照射群に比べ有意な差が認められた(n=7:p<0.05)。超音波60分間照射では49±1.6%であったがコントロールでは32±1.5%であった。また、薬物進達距離の無処置群に対する増強率は内側から照射した群は1.62倍に対し超音波反対側照射では1.15倍であった。薬物に接触させる前に超音波を照射した群は1.18倍であった。 [考察]本実験にて超音波エネルギーによる血管壁内への薬物透過促進作用が認められた。また超音波の照射方向に依存した。一方、超音波の前処置組織では透過促進が認められなかったことから超音波による血管内皮の損傷による促進作用ではなかったと考えられる。今後、in vivoにおいての実験検討が必要と思われる。将来、臨床面での血管内超音波カテーテルによる新しい遺伝子治療および血管治療薬物投与システムへの応用が期待される。
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