1997 Fiscal Year Annual Research Report
膜結合型インターロイキン15遺伝子導入による腫瘍ワクチン開発の研究
Project/Area Number |
09670782
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
今野 多助 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (00004846)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久間木 悟 東北大学, 加齢医学研究所, 医員
藤江 弘美 東北大学, 加齢医学研究所, 助手 (60282000)
峯岸 正好 東北大学, 加齢医学研究所, 助手 (20211592)
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Keywords | インターロイキン15 / 急性移植片対宿主病 / NK細胞 / X連鎖重症複合免疫不全症 |
Research Abstract |
インターロイキン15(IL-15)の生理的な意義についてはまだ不明な点が多い。そこで我々はまずIL-15の免疫系における役割を検討した。IL-15の産生がどのような状況下で変動するかをみるため、免疫系再構築が観察できる同種骨髄移植後の患者血清を用いてIL-15の定量を行った。その結果、重症の急性移植片対宿主病(GVHD)患者、特に腸管合併症を伴うgradeIIIないしIVの急性GVHD患者でのみIL-15の有意の上昇が遷延性に認められた。IL-15は抗原で刺激されたT細胞をIL-2と同様に活性化できることからIL-15が重症の急性GVHDの発症に重要な役割を果たしていることが推測された。また、IL-15の受容体を形成しているcommonγ(γc)鎖はX連鎖重症複合免疫不全症(X-SCID)の責任遺伝子である。患者の末梢血ではT細胞およびNK細胞が著明に減少するという特徴を有する。 我々は正常のNK活性を持つ非典型的なX-SCID患者から単離した変異γc鎖を、γc鎖が発現していないHTLV-I感染T細胞株(ED)にIL-7受容体cDNAと共に遺伝子導入し、サイトカインに対する反応を調べた。その結果、この変異γc鎖遺伝子を導入したED細胞ではIL-7によるシグナルは減弱していたが、IL-15からのシグナル伝達は正常のγc鎖を導入したものと同様に認められた。このことからIL-15がNK細胞の分化に重要な役割を果たしている可能性が示された。こうしたIL-15の機能的役割を踏まえた上で、腫瘍ワクチンに応用するために我々は白血病患者からIL-15依存性の細胞株の樹立を試みた。その結果mixed lineage leukemia患者からIL-15依存性の細胞株が得られた。今後この細胞株を用いてIL-15を用いた腫瘍ワクチンの研究をすすめていく予定である。
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[Publications] Satoru Kumaki, Masayoahi Minegishi, Tasuke Konno et.al.: "Prolonged secretionof IL-15 in patients with severe forms of acute graft-versus-host disease after allogeneic bone marrow transplantation in children" International Journal of Hematology. (in press).