1998 Fiscal Year Annual Research Report
ステロイド受容体遺伝子多型性とIgA腎症の進展に及ぼす影響についての研究
Project/Area Number |
09670788
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
大久保 総一朗 新潟大学, 医学部附属病院, 助手
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笠原 多加幸 新潟大学, 医学部附属病院, 医員
奥川 敬祥 新潟大学, 医学部附属病院, 医員
|
Keywords | IgA Nephropathy / Steroid therapy / Estrogen receptor / Progesterone receptor / Phenotype / PCR / Prognosis / Child |
Research Abstract |
1. 目的 エストロゲン受容体(ER)の遺伝子多型性がIgA腎症の臨床的、組織学的進展に影響するか否かを検討する。 2. 対象と方法 今年度は初回腎生検施行後に一定のプロトコールによるステロイド療法を現時点で終了したIgA腎症患児49名を対象とした。(1)末梢血DNAから、PCR増幅法によりER遺伝子多型性を特定し、制限酵素PvuIIで切断し多型性を解析した。切断されない対立遺伝子をP、切断される対立遺伝子をpとし、genotype PPおよびPp+ppの2群に分類した。(2)発症時、初回および第2回生検時の尿蛋白量、一日尿中ナトリウム量(24Na)、血清総蛋白、尿素窒素、クレアチニン、ナトリウムを測定する。また、ステロイド療法前後で腎生検糸球体濾過量(GFR)を測定した。 (3)初回と第2回腎生検所見を組織学的にスコア化して評価する。すなわち、腎病理組織を急性期所見と慢性期所見に分け、それぞれを急性期スコア(AI)と慢性期スコア(CI)としてスコア化した。 3. 結果および考察 (1) 初回と第2回腎生検組織所見では、AIは3.83±2.76から1.33±1.37と改善していたが、CIは2.83±2.16から2.83±2.79と変化はなかった。これは、我々のステロイド療法が急性炎症を抑え、慢性炎症の進展を阻止したことを示しているものと考えられた。 (2) 今回多型性を解析できたのは、PP3名、Pp9名、pp3名(15名)であった。各検査項目、組織スコアに関してPPおよびPp+ppの2群間で差異があるか否か検討したが、現時点ではまだ症例数が少なく統計学的有意差はなかった。今後さらに症例を増やして検討予定である。
|