1997 Fiscal Year Annual Research Report
好中球組織障害に対する細胞内情報伝達制御による治療法の確立
Project/Area Number |
09670797
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
安井 耕三 信州大学, 医学部・附属病院, 講師 (90200493)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松岡 高史 信州大学, 医学部・医療短大, 助教授 (70270965)
上松 一永 信州大学, 医学部, 講師 (60262721)
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Keywords | 好中球 / 食細胞 / 細胞内情報伝達 / 炎症 / ベーチェット病 / GM-CSF / 喘息 / 活性酸素 |
Research Abstract |
1)喘息は気道における慢性炎症と認識されてきた。頻回な喘息発作例,コントロール不良例では,気道粘膜上皮に好中球・好酸球の浸潤が観察される。気道での顆粒球の浸潤および活性化にはサイトカインの影響が関与しており,なかでもIL-5,GM-CSFは機能亢進とともに顆粒球の寿命を延長しこれらは炎症の慢性化の一因と考えられる。とくにGM-CSFの作用は炎症惹起性であり,好中球の粘着性を亢進させるなどあきらかにG-CSFと異なっている(Int.J.Hematol.など)。 一方喘息治療において、わが国において第一選択薬として頻用されるテオフィリンは、国内では一般使用により広くその有用性が知られていながら、その作用機序が不明なため欧米では評価されていない。私達の施設では、テオフィリンの顆粒球アポトーシスに与える影響を検討し、テオフィリンのphosphodiesterase inhibitor以外の機序による顆粒球アポトーシス誘導作用を見い出した。好酸球においてはBc1-2の発現が抑制されmRNAまたは蛋白合成レベルでの抑制が推察された(J.Clin.Invest.)。 2)炎症の場において、好中球の果たす役割は大きい。好中球の過剰な機能発現は、正常組織の障害をもたらすことが知られている。こうした好中球の機能発現の制御を考慮する上で好中球の細胞内シグナルは重要な検討課題である。われわれはシグナル伝達におけるセカンドメッセンジャー産生機構に注目し、好中球の活性酸素産生におけるPI3-kinaseとphospholipase-Dの重要性と両者の時間的,立体的関連性について知見を得ている(投稿予定)。ベーチェット病は好中球機能亢進が病態に関連する重要な疾患であり(Ann.Intern.Med.),病態における薬剤の好中球機能における影響を検討中である。
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Research Products
(11 results)
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[Publications] I.Hu B, Yasui K.: "Effects of colony-stimulating factors (CSFs) on neutrophil apoptosis : possible roles in inflammation site." Int J Hematol. 66. 179-188 (1997)
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[Publications] Yasui K, Ohta K,Komiyama A.: "Treatment of Behcet disease with pentoxifylline." Ann Intern Med. 126. 493-494 (1997)
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[Publications] Yasui K, Hu B, Nakazawa T, Agematsu K, Komiyama A.: "Theophylline accelerates granulocyte apoptosis not via phosphodiesterase inihibition." J Clin Invest. 100. 1677-1684 (1997)
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[Publications] Higuchi T, Koike K, Yasui K, et al.: "Megakaryocytes derived from CD34-positive cord blood cells produce interleukin-8." Br J Haematol. 99. 509-516 (1997)
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[Publications] Agematsu K, Nagumo H, Yasui K, et al.: "Generation of plasma cells from peripheral blood memory B cells : Synergistic effect of interleukin-10 and CD27/CD70 interaction." Blood. 91. 173-180 (1998)
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[Publications] 安井耕三, 小宮山淳: "Chediak-Higash : 症候群の責任遺伝子" 医学のあゆみ. 180. 510-511 (1997)
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[Publications] 安井耕三: "好中球機能発現における細胞内情報伝達機構." 炎症. 17. 231-237 (1997)
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[Publications] 安井耕三: "先天性遺伝性食細胞機能異常症のmolecular basisについての最近の知見" 日臨免誌. 20. 145-151 (1997)
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[Publications] 安井耕三: "Chediak-Higashi症候群発症遺伝子の同定." 臨床免疫. 29. 1016-1019 (1997)
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[Publications] 安井耕三: "Chediak-東症候群における責任蛋白質." 医学のあゆみ. 182. 767-770 (1997)
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[Publications] 安井耕三: "小児の好中球減少症" 日常診療と血液. 7. 1561-1566 (1997)