1998 Fiscal Year Annual Research Report
リコンビナント Der f2による特異的減感作療法の基礎的検討
Project/Area Number |
09670801
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
細井 進 京都大学, 医学研究科, 講師 (80144377)
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Keywords | 気管支喘息 / コナヒョウヒダニ / Der f2 / 特異的減感作療法 / IgE抗体 / T細胞エピトープ / Th_2クローン |
Research Abstract |
本研究は小児気管支喘息などの主要アレルゲンであるコナヒョウヒダニDer f2に対する安全な特異的減感作療法剤を開発するための基礎的研究である。平成9年度の研究成果として、8番及び119番システイン残基をセリンに置換したC8/119S置換体はDer f2特異IgE抗体の結合活性が弱く、ダニアレルギー患者における皮膚プリックテストおよび末梢血好塩基球からのヒスタミン遊離活性が約1,000分の1であることが明らかになった。また、共同研究者のアサヒビール基盤研究所奥村康氏らの研究により、マウス、モルモットおよび猿におけるダニアレルギーモデルにおいてC8/119S置換体の特異的減感作効果が確認された。平成10年度の研究目的は人に応用するための基礎的研究として、ダニアレルギー患者末梢血リンパ球のDer f2およびC8/119S置換体に対する反応性を検討し、人においても特異的減感作が成立することを確認することであり、また、ダニアレルギー患者からDer f2特異T細胞クローンを確立し、その作用機序を検討することであった。本年度の研究にて以下の成果が得られた。 (1) ダニアレルギー患者末梢血リンパ球をDer f2およびC8/119S置換体にて刺激した場合、C8/119S置換体は有意にリンパ球増殖刺激活性が強く、APCによる抗原処理およびTリンパ球への抗原提示がより効率よく行われると考えられた。また、産生されるサイトカインのうちIL-4は検出限界以下であったが、IL-5およびIFN-γはほぼ同程度産生され、反応するTリンパ球はDer f2と同様TH2と考えられた。以上より、C8/119S置換体はダニアレルギー患者においてDer f2特異T細胞に作用し、anergyの誘導などにより減感作効果を発揮しうるものと期待された。 (2) 長期Der f2特異TH2細胞クローンの確立。今まで短期T細胞クローンはヒトに於いても作製されてきたが、anergyの誘導とその生化学的機構を解明するためには長期クローンの確立が必要であった。本年度の研究により、培地、抗原刺激条件など種々の条件を検討することによりDer f2特異TH2の長期クローンを確立し、その認識エピトープを決定することが出来た。今後、これらのクローンを用いて特異的減感作療法の作用機序および至適条件を明らかにすることが可能と考えられた。
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[Publications] 細井 進: "寝室および寝具のダニ抗原除去と気管支喘息患児の症状改善" アレルギーの臨床. 18. 57-61 (1998)
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[Publications] Takashi Kusunoki: "Month of birth and prevalence of atopic dermatitis in schoolchildren" J.Allergy Clin.Immunol. (発表予定). (1999)