1997 Fiscal Year Annual Research Report
ターナー症候群とその類縁疾患の表現型に対する染色体モザイクとX染色体不活化
Project/Area Number |
09670802
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
依藤 亨 京都大学, 医学研究科, 助手 (60220779)
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Keywords | ターナー症候群 / X染色体不活化 |
Research Abstract |
ターナー症候群患者のうち、45,X/46,X,r(X)のモザイク核型を示す患者は従来より通常のターナー症候群とちがって発達遅延や重度の多発奇形を示すことが示唆されている。今回私達は、45,X/46,X,r(X)ないし45,X/46,Xmar(X)のターナー症候群患者のうち軽度-中等度の発達遅延を伴うがその他の多発奇形を伴わない症例についてring(X)/mar(X)染色体の構造、X染色体不活化の有無、及び親由来を染色体高精度分染法、FISH法、RT-PCR法、PCRによる高度多型マーカーの解析、アンドロゲンレセプターアッセイなどを用いて検討した。その結果、これらのring(X)/mar(X)は従来の報告と異なりX染色体不活化中心(XIST)を保持している例があり、またこれらの染色体からのXISTの転写がみられる例やみられない例があるにもかかわらずアンドロゲンレセプターアッセイ上はいずれのX染色体不活化を受けていないことが判明した。これらの結果は発達遅延の発症機序としてのX染色体不活化不全を裏付けるものであったが、その分子的背景は様々であることが明らかになった。また、これらの小X染色体は検討した2例の内のいずれもが父親ないし母親からの片親性ダイソミ-によって発生していることが明らかになりX染色体不活化不全との関わりが示唆された。臨床的には軽度の発達遅延を伴うのみのターナー症候群でもこのような機序による発達遅延をきたしている可能性を考える必要があることが明らかになった。また、こららの症例のうち一例は加齢に伴ってmar(X)が減少してきており、成人では一見46,XXにみえても同様の機序で発症し、低身長、発達遅延などを伴う"masked"mosaic Turnerが存在する可能性も考えられた。
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