1997 Fiscal Year Annual Research Report
新しい血管拡張性ペプチド、アドレノメデュリンの、肺高血圧の進行に対する抑制効果
Project/Area Number |
09670803
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉林 宗夫 京都大学, 医学研究科, 助手 (80273449)
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Keywords | 肺高血圧 / アドレノメデュリン / モノクロタリン |
Research Abstract |
4週齢のウィスターラット(n=10)にモノクロタリン60mg/kgを1回皮下注した。モノクロタリンの皮下注を行ったラットの半数(n=5)に、アドレノメデュリン(AM)5μgを、モノクロタリン皮下注直後から毎日1回ずつ計3週間皮下注した(AM投与群)。残りの半数(n=5)のラットには、生理食塩水を、モノクロタリン皮下注直後から毎日1回ずつ計3週間皮下注した(対象群)。AM投与群と対照群の各々について、皮下注から3週間後に、バルピツール酸系鎮静剤による麻酔下に内頚静脈をカットダウンしてカテーテルを挿入し、右室収縮期圧を測定した。右室圧測定直後に採血し、血液をアプロチニン・EDTA混合液を含むチューブに入れ、冷却遠沈器で遠沈・血漿分離し-80度Cで保存した。この保存血漿は、今後血管作動物質の血中濃度測定に用いる予定である。その後ラットを麻酔死させて心肺を摘出した。摘出心臓から右室重量を測定して右室重量/体重比を算出した右室収縮期圧、右室重量/体重比を、肺高血圧の指標とした。摘出肺はホルマリン固定ののち切片のHE染色を行い、肺小動脈の中膜厚と外径を計測して肺小動脈中膜厚/外径比を算出し、肺血管病変の指標とした。その結果、AM投与群では、対照群と比較して、右室収縮期圧、右室重量/体重比、肺小動脈中膜厚/外径比は、いずれも有意に低値(各々対照群の81%、87%、87%)であった。これらの結果から、アドレノメデュリンの投与はモノクロタリンによるラット肺高血圧の進行を抑制することが示された。
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