1997 Fiscal Year Annual Research Report
熱性痙攣素因と脳内興奮系・抑制系ニューロンの発達に関する研究
Project/Area Number |
09670812
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
森本 武彦 愛媛大学, 医学部, 助教授 (40157920)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 光成 愛媛大学, 医学部・附属病院, 助手 (80274330)
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Keywords | ラット / けいれん / 高温負荷 / 一酸化窒素 / 神経伝達物質 / 大脳皮質 |
Research Abstract |
高温負荷が皮質神経活動に与える影響:熱性痙攣の発作発現機序を解明するために人工呼吸器下のラットの頭部に赤外線を照射し高温を負荷した。この時の後頭部大脳皮質における神経の活動電位の変化についてガラス微少電極を用いて検討した。その結果、高温負荷前、高温負荷中、負荷後の各40秒間の神経の発火頻度はそれぞれ2.2(0.0-42.0)(median,range),4.0(0.1-68.3),4.1(0.1-51.9)Hzであり、高温負荷中、負荷後で優位に増加していた(n=90,p<0.01)。 また、脳波上の棘波に同期する周期性の発射は皮質の深さ633±269μmで最も早く認められた。温度上昇時の神経活動の増加が神経細胞周期のイオン濃度、神経伝達物質濃度の変化をもたらし、発作を惹起していることが推測された。 高温負荷が大脳皮質からの一酸化窒素放出に与える影響について:一酸化窒素が神経伝達物質の放出を促進することが知られている。そこでラットの大脳皮質に直径5mmのカップを装着して人工髄液で還流し、高温を負荷して、人工髄液中に遊離してくる一酸化窒素を電気化学法を用いて測定した。その結果高温負荷の強さ(脳の温度上昇を積分)と一酸化窒素の放出量(一酸化窒素濃度の増加を積分)との間には正の相関(r=0.7)が認められた。温度上昇による脳内一酸化窒素の増加が神経伝達物質の放出に影響を与え、熱性痙攣の発現に関与している可能性が示唆された。
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